2025年11月22日土曜日

EVAを加熱脱脂した場合の欠点について

EVA(エチレン酢酸ビニル)はMIMバインダーの一成分として重宝されています。その理由は、相溶化・分散性向上だけでなく 、射出成形の流動性を向上させ、さらに成形体の強度を高める効果が大きいためです。しかし、欠点もあります。それは熱分解時に発生する酢酸ガスが、金属を酸化させることです。

実用上、加熱脱脂時に適切な流量の窒素ガスを流すことで問題とならないレベルまで酸化リスクを低減させています。(チタン合金などの活性金属では、ハテナ?です。)

【珈琲ブレイ句】EVAの添加が数%の場合は、大きな問題にはならないということですね。しかし、なんとMIMの元祖であるパーマテックバインダーには、EVAが約2割配合されています。確かに、とても成形性が良く成形体の強度も最高です。さらに焼結体の化学組成も問題ありません。それではどうやって上記の欠点を解決しているのでしょうか? それは温ヘキサンの溶媒脱脂(一次脱脂)でEVAを完全に除去して、二次加熱脱脂以降へEVAを持込ませないのです。流石MIMの元祖パーマテック法は、よく考えられていますね。