2018年3月8日木曜日

「バスフ」のMIM(カタモールド)を掘り下げてみる

「バスフ:BASF」のMIMは、一般的なバインダーシステムとは異なる。
大きな違いは二つ
《ひとつは成形温度の違い》
 一般的なバインダーは、高分子とワックスを使ったもので150℃程度で溶融する。射出成形温度160℃程度で金型温度は40~50℃程度である。
一方「バスフ」のバインダーは、2種類?の高分子からなり(一方はPOMポリアセタール)*1  成形温度は170~190℃と高く、金型温度も140℃まで上げることがあるらしい。
《二つめは、脱脂方法の違い》
 一般的な脱脂は「加熱脱脂」「溶媒脱脂」である。
一方「バスフ」は、硝酸と窒素を使う触媒気相分解で固体から直接ガス化する独創的な方法で脱脂する。 ガス化される樹脂はPOMだけで、耐酸性の樹脂は(約10wt%)は、脱脂されず形状は保持される。

長所短所をまとめてみる
長所
①POMが主体の高分子なので脱脂変形が少ない
②触媒気相分解で外周から内部へ脱脂が進行するため肉厚が可能
③ワックスなどの蒸発する成分が少なくリターン材を使っても収縮率が安定している*2
短所
①成形温度が高温(100℃超え)のため成形体の手扱いが難しい(ロボット化)
   金型の温調に水は使えないオイルになる
②脱脂装置が特殊で、発生するガスは「ホルムアルデヒド」であり毒性が高い
   排気を燃焼させて無害化できるらしい

追加20190527
*1 もう一種類はPE樹脂:ジャーマン先生の本にも書いてあった。
*2 POM系バインダーはリターン可能回数が少ないため、スプール・ランナが発生しない究極のホットランナーを薦めている。
多品種少量生産には向いていない、量産向き製法ですね。