2018年2月27日火曜日

MIM用の射出成形機はあるのか

MIM用の射出成形機について掘り下げてみる

MIM用の射出成形機は無い(MIM専用として開発されたものは無いの意味)したがって、一般プラスティック成形機と同じものを使っている(耐磨耗仕様にすることが多い)

方式の違い/それぞれの長所・短所
◇射出成形方式は2種
インライン方式(ほとんどのMIMメーカーで採用されている)
プリプラ方式(Sodick製の成形機が有名)

インライン/長所:扱いやすい、慣れている 短所:逆止弁による射出量誤差
プリプラ/長所:可塑化と計量・射出が独立、射出量が正確 短所:射出シリンダ背部から材料流出

◇金型クランプ方向は2種

横型/長所:扱いやすい、慣れている 短所:二重成形が難しい
縦型/長所:二重成形が容易、多数金型も可能 短所:部屋の天井を高くする、スクリュウの交換が大変

◇ランナー形式(金型含む)
一般スプールランナー/長所:扱いやすい 短所:スプール、ランナーが発生する
ホットランナー/長所:スプール、ランナーが無い 短所:高価、段取り替えが大変

最新3D金属造形技術はMIMと競合するのか

MIMの代替技術になりうる3D金属造形技術を掘り下げてみる。

金属粉末を供給する方式は4種類
A)パウダーベッド方式   
B)デポジション方式(溶射方式)   
C)液体ジェット方式    
D)MIMフィラメント積層方式

金属粉末を金属の塊にする方式は4種類
①レーザーあるいは電子ビーム溶融・焼結
②レーザー溶射
③液体ナノ金属融合
④MIM脱脂焼結法


これらの組み合わせ16種類が考えられるが
実際はかなり少なく現在6種類の装置が各社から発表されている

その事例・・・・
Aと① レーザーなら「3DSystems LASERTEC30」
     電子ビームならやはり「Arcam」 東北大学にある(機械的特性も優れている)
Bと② LASERTEC65 ・Sodick-OPM350 (曲がった冷却穴を形成できる金型製造用)
Cと③ Xjet 金属粉末がナノの大きさだとかなり低温(300℃)で焼結できるらしい、信じられない!
Aと④ ヘガネス- Digital Metal ・ExOne-Sand Printing Process 《MIM代替になりうる》
D&④ The Metal X ・Desktop Metal 《MIM代替になりうる》

これらの造形物とMIMと比較してみる
【強度】MIMが良いか同等(ただしArcamのチタン合金強度はMIMより勝る)
【精度】MIMが良いか同等
【表面あらさ】MIMがたいへん良い(積層の弱点は表面あらさ)
【コスト】MIMの方が安い (大きなものは逆転する、溶接機利用のものには負ける)
【納期】3D積層のほうが短い

MIMは総合的に優位であるが、金型が必要なため納期で負ける。

結論:試作段階では「MIMフィラメントを使った3D造形技術」を使い、量産は「MIM」を使う。
最新3D金属造形技術は共存共栄すべきMIMの相棒であることがわかった。

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2018年2月16日金曜日

金属粉末の安息角

MIM用金属粉末のメーカーミルシートには
化学成分や平均粒径、タップ密度などの明記があるが「安息角」はない。
安息角とは粉を積み上げた時に崩れない山の角度のことである。
MIMの金属粉末で,もしこの安息角がゼロのものがあったらすごいものができる。ビー玉を大量に積み上げても決して重ならないように。もし安息角がゼロならばバインダー量を今より極限まで少なくできるはずである。そうなれば収縮が最小化でき高精度MIMが実現できる。
 妄想はこれくらいにして、この安息角が実際の作業で問題になることがある。それは射出成型のクッション量の設定で起こる。クッション量が小さいと安息角の影響でロックが掛かり保圧が掛からなくなる。

自己反論:安息角がゼロならバインダ量を最少化できるが、バインダを除去したときの部品形状を保持する機能はあるのか?「石積み効果」といわれているような形状保持の機能は確かに無くなる。
粉末がネッキングを始めるまでの温度域と形状保持能力の関係問題だ。2018/5/9

平均粒径6μmでタップ密度4.5g/cc、相対的に安息角が大きい粉末の臨界粉末量を求めた実験で、バインダ量を30Vol%より少なくできることがわかった。潤滑剤をバインダーに配合すれば、安息角の影響は気にしなくてよいようだ。メモ2019/10/25

2018年2月14日水曜日

真空度を得るための真空ポンプと真空計

MIMの焼結炉(バッチ炉)は大きく2種類
①MBまで2点セットのもの
②DPまで3点セットのもの
一般材料は①で十分ですが、チタン合金(活性金属)を作るなら②
(一般品で②を使っているところもある・・・・)

【真空ポンプとその真空度の目安】
その真空度を測る真空計はつぎのとおり
1×10^-1Pa
 RP:ロータリーポンプ / ブルドン管真空計
1×10^-2Pa 
 MB:メカニカルブースター / ピラニ真空計
1×10^-3Pa
 DP:油拡散ポンプ / 電離真空計

注意:高真空のためにはこれらの真空ポンプを直列にし
順番に低真空から始動のバトンを渡していきます

他に 連続式脱脂・焼結炉を使っているメーカーもあります
この炉はガスで還元を管理する方式(雰囲気炉)で、高炭素鋼は難しいようです

2018年2月13日火曜日

ATMIXの超高密度MIM カタログを手に入れた

カタログを入手した

超高密度MIMのラインナップ5種
SUS630/SUS420J2/SKH40/SUS316L/ASTM F75
すべてJIS規格の機械的性質を満足している
また、高品位鏡面MIMとして3種
SUS316L/SUS445J2(Niレス)/Ti-6Al-4V
こちらもJIS規格の機械的性質を満足している
これらはSEIKOの腕時計用に開発されたものと推察される

Ti合金が入っているので高真空の焼結炉を使っていると思われる
高真空レベル(油拡散ポンプの世界)

SUS316Lの組織写真には空隙がまったくない。すばらしい。
あとは値段がどのくらいするのか・・・・

【追伸】
聞いてみたら、粉末の外販は、今は考えていないということでした。
グループ内の製品(SEIKO腕時計)には使っていると思われます。
【追伸2】
先日見本市でメーカーの技術の方に聞いたところ、超高密度MIMはもうやめた?モードで苦しそうに話されていました。 収率が悪いらしい。 また、腕に付けたお気に入りのアストロンを見せ、このボディに使ってますよね?・・・答えは「NO」でした。普通に鍛造品のようです、残念。6/22


《日曜MIM知るINDEX》


2018年2月5日月曜日

ATMIXの超高密度MIM

ATMIXの超高密度MIMは99.5%の相対密度を達成するそうだ。
メーカーHP記載の特徴は


当社独自の原料粉末開発製造・MIM焼結技術により、
従来MIMでは得られなかった高焼結密度を実現。
・焼結密度99.5%以上を達成。
・難加工材も高密度でニアネットに。
・機械的特性の向上・HIPレス化の期待。

つまり
①粉末が一般と異なる
②焼結方法が異なる
③HIPは行っていない
ということから類推すると・・

『一般粉末に微細粉末(3~5μm)を混ぜてタップ密度を向上させ
還元反応(高真空化 or H2)を完全に起こさせ粉末表面の酸素を除去し
焼結温度の上昇速度を遅めにし
もしかすると少し加圧しながら焼結する』
以上仮説(妄想?)でした。

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粉末と製品両方やっているのは強みだ。