2026年7月6日月曜日

改善は心のコップの向きが重要

 【珈琲ブレイ句】技術論IQではなく、「心のコップ」に関するEQについて共有します。コンサルタントとしてコントロールできない最後の砦・課題でした。 

◆職場の責任者に向かって話しかける形式でまとめています◆


なぜ、完璧な実験データ(IQ)があっても現場は動かないのか?

 正論だけでは動かない「現場の現実」

製造現場の改善において、「緻密な検証実験を行い、完璧なエビデンスを揃えたのに、現場が思うように動いてくれない」という局面に直面したことはないでしょうか。 技術的な正論(IQ)をどれだけ突きつけても、方針がスムーズに変わらない背景には、シンプルな理由があります。現場を動かすために本当に必要なのは、ロジックの正しさだけでなく、リーダーであるあなた自身の「心の知能指数(EQ:Emotional Intelligence)」の力だからです。

1. 「正しすぎるロジック」が引き起こす、無意識の防衛本能

データや数値という「IQ」の正論は、時に受け手にとって「これまでの実績やプライドへの攻撃」として受け止められてしまいます。 過去の成功体験や、これまで積み上げてきた方法に責任と自負があるリーダーほど、後から出てきた完璧なデータに対して、無意識に「自分の立場が脅かされる」という防衛本能(EQの暴走)が作動しがちです。こうなると、議論は技術論ではなく「プライドを守る戦い」にすり替わってしまい、どれだけ追加データを並べても現場の膠着状態は解消されません。

2. リーダーの「EQ不全」が組織に与える3つの実害

リーダーが客観的な変化(データ)を受け入れるEQを持たない場合、組織は静かに衰退していきます。

①「心理的安全性」の崩壊: 正しい事実を伝えても受け入れられないと感じた部下は、考えることをやめ、「指示待ち組織」へ退化します

②優秀な技術者の離職: 筋の通らない旧来の方法に付き合わされる現場ほど、優秀な人間から見切りをつけて辞めていきます

③「技術の成長」の停止: 過去の成功体験からアップデートできない環境では、個人のスキルを組織の技術へ昇華させるサイクルがストップします。

結び:技術を生かすも殺すも、最後はあなたの「EQ」次第

どんなに高度な技術や緻密な製造プロセスであっても、それを動かし、伝承していくのは「人」です。 真に優秀な現場リーダーとは、単にIQ(専門知識)が高い人ではなく、自分の焦りやプライドを客観的にコントロールできる「EQが高い人」です。技術(IQ)の議論で勝って、人間関係(EQ)で負けてしまっては、現場の改善は絶対に成功しません。

まず、リーダー・責任者として、自分自身の「心のコップの向き」を確かめてみてください。 心のコップが上を向いているリーダーは、新しい変化やデータを積極的に吸収し、組織を成長させることができます。逆に下を向いていると、変化を拒絶し組織にネガティブな影響を与えてしまいます。日頃のコミュニケーションや周囲への感謝を通じ、まずは自分自身の気持ちに余裕を持ち、コップを上向きに保つことから始めてみませんか。

参考文献:EQこころの鍛え方



2026年7月4日土曜日

BASF法の不良と対策のまとめ 

 BASF法Catamold®の不良と対策をまとめました。

Ⅰ.触媒脱脂工程における不良と対策

触媒脱脂特有の不具合は、「酸(硝酸)の濃度・供給量」「処理温度」「炉内のガス循環」のバランスが崩れたときに発生する。

A.クラック(ひび割れ)・割れ

《原因》凝縮水の発生: 炉内のキャリアガス(窒素)流量が不足すると、分解ガスや微量の水分が炉内で凝縮し、成形体に付着して局所的な応力集中や化学的アタックを引き起こす。

《対策》窒素ガスによるパージ流量を増やし、分解ガスを速やかに炉外へ排出(排気燃焼)させる。

B.変形・ダレ(スランプ変形)

《原因》炉内温度のオーバーシュート: 触媒脱脂の適正温度は通常110℃〜120℃ですが、これがPOMの融点(約160℃〜170℃)に近づく、あるいは局所的なホットスポットがあると、バインダーが軟化・溶融して自重で変形する。

《対策》炉内の温度均一性(バリデーション)を定期的に確認し、温度管理を徹底する。自重による変形を防ぐため、オーバーハング部や複雑形状部には専用のセッター等でバックアップを行う。

C.脱脂残りおよびそれに起因する脱脂割れ

《原因》①炉内のガス循環不良: 炉内にワークを過密に詰め込んだり、ガスの流れが遮られたりすると、硝酸蒸気が行き渡らない箇所(未脱脂部)が生じる。②肉厚部の拡散限界: 肉厚品の場合、中心部まで酸が拡散するのに時間がかかるため、表面が先に脱脂され、内部が未脱脂のまま次の熱脱脂・焼結工程に回ると、残ったバインダーが一気にガス化して製品を破裂させる。

《対策》①炉内のワーク配置(チャージング)に適度な空間を空け、気流を均一にする。②肉厚品に対しては、脱脂時間を単純延長するか、あらかじめ設計段階で「リブ化」や「肉盗み」を設け、均一な肉厚にする。

Ⅱ.成形工程に起因する不良



【珈琲ブレイ句】BASF法Catamold®の不良についてまとめましたが、最も重要なのは成形工程における品質の確保であり、これは溶媒脱脂法や加熱脱脂法と共通する基本管理項目です。

 良質な成形体があれば、BASFの優れた脱脂技術は、相対的に生産性の面で有利かもしれません。その理由は、何といっても『表面からPOMを直接ガス化(解重合分解)させる』ところです。表面から一定の速度で分解が進行するため、処理時間は肉厚に比例するのみであり、加熱脱脂法と比較すると短時間での処理が可能です。

脱脂率の定量管理(重量測定)と排気・安全管理を適切に行えば完璧です。



2026年7月2日木曜日

ベッディング(敷粉)の隠れた危険を考える

ベッディング(Bedding)とは、粉末のベッドを作る技術。 敷粉、離型材、焼結防止材、溶着防止材。

《使用する目的》焼結時の自由な収縮を助け、セッターとMIMの摩擦抵抗を減らして焼結変形を防止する。また、溶着防止、拡散接合防止のために使用する。

《方法》①セラミックスプレーを使用する。 例えば、セラコートスプレー(アルミナ99%)。 ②セラミックビーズを使ってスラリーを自作する。例えば、東ソー・ジルコニアビーズTZ-B 30をPVA3wt%溶液に溶かし、塗布後乾燥させる。実験であればスティック糊を塗って粉を掛ける。

《効果》①収縮変形の際に、MIMとセッターの間でボールベアリングのような役割をして、摩擦による焼結体の変形を防止する。②金属同士の拡散接合を阻止する。変形アシスト追従駒法のセラミックコーティングとして使用する。MIM指南書 P30 図2.14

《隠れた危険》①塗布したセラミックの微細粉末が炉内を浮遊して、炉内の断熱材等を汚染する。②トラップされないセラミック微細粉末が、ロータリー真空ポンプやメカニカルブースター真空ポンプに流入して、摺動部分や回転軸のクリアランスの摩滅材として働きポンプの機能を低下させる。

《対策》①日常対策としては、セラミックや黒鉛製の防波堤、防風林等の囲いの中に脱脂体を並べ、ガス流の影響を受けない環境で焼結する。 ②定期的な真空系の設備保全の実施。 


【珈琲ブレイク】 ベッディング(敷粉)に使用する微細セラミック粉末は微量なので、炉内浮遊は深刻に考えなくてもよいかもしれませんが、長期間稼働の危険予知としてまとめておきました。

一方、アルミナ粉末を大量に使用されている場合は、粉末浮遊対策を考慮した方が無難です。


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