2026年6月9日火曜日

技術コンサルタントがネガティブに感じた事例⑦「ビジネスモデル未確立時代」

 【珈琲ブレイ句】技術コンサルタントとしてネガティブに感じた事例の7回目です。技術事務所を立ち上げて間もないころの出来事で、ビジネスの仕組みづくりの原点となったエピソードを共有しておきます。

《出来事》射出成形機を扱う商社からのコンサルティング依頼でした。ある装置メーカーG社がMIMの製造を内製化するために必要な「4M」を伝授してほしいという内容です。後日、MIM製造のための4Mに関する仕様書を丁寧に作成して提出しました。しかし、商社からの報告はなく、費用の発生もありませんでした。

この経験を前向きに捉え、事務所のウェブサイトの業務案内ページに、仕事内容ごとの料金を分かりやすく明記する改善を行いました。この効果は絶大で、本気で技術革新や課題解決を目指す素晴らしいお客様との出会いに集中できるようになりました。

《数年後》間接的に聞いたG社の情報に驚きました。それは、G社はMIM内製化ではなく、専門のMIMメーカーへMIM設備を支給してOEM生産をさせていました。

個人ビジネスのやり方も含め、深く考えさせられた出来事でした。この経験をネガポジ変換してコンサル業務を強化することができました。


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2026年6月8日月曜日

技術コンサルタントがネガティブに感じた事例⑥ 「勝手にVE提案はNG」

【珈琲ブレイ句】技術コンサルタントがネガティブに感じた事例の6回目です。精密機械加工メーカーでの日帰りコンサルティングの回想です。

《状況》機械加工メーカーの社長から見せられたA部品は、鋼材から削り出された小さな複雑形状部品でした。これをMIMにした時のコスト見積を依頼されました。

私は、MIMに携わる前、生産技術を10年間経験しているので、すぐに「MIM素形材を使った追加工」の工程設計を頭の中で描き始めました。どこを加工基準にするのか、捨てボスをどこに配置すべきか、ゲートは捨てボスにつけて……など。

加工設備によって工程設計は変わるため、工場見学をお願いしたところ、なんと断られてしまいました。そこで社長の真の目的が、この「削り出し部品を、そのままMIMに置き換えたい」ということだと分かり、驚愕しました。

機械加工の精度はIT7等級以上です。一方、MIMの精度はIT10等級が限界です。MIM部品への追加工なしでA部品が完成するはずがありません。

さらに驚いたのは、社長が「勝手に機械加工品からMIMへの置き換えができる」と考えていたことです。当然、顧客への「工程変更申請」が必要ですし、それが承認されるまでには数カ月はかかります。

ISO9001認証工場でありながら、この社長のコンプライアンス感覚は「ヤバイ」と感じ、申し訳ないけれど早々に退散しました。

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2026年6月4日木曜日

技術コンサルタントがネガティブに感じた事例⑤ 「セクショナリズムの課題」

 【珈琲ブレイ句】技術コンサルタントがネガティブに感じた事例の5回目です。あるMIMメーカーで行ったMIM講習会の質疑応答で感じたことを共有します。良い悪いの話ではなく個人的な感想です。

《状況》

その会社は、金型から社内製造している樹脂成形の一流専門メーカーです。新設された「MIM製造課」の成形工程は、高い技術力と実績を持つ既存の「成形課」へ委託される形で進んでいました。

《質疑の内容》

成形課の担当者から「MIMフィードストックの成形性が非常に悪い。何とか改善できないのか?」という質問を受けました。ここに、MIMの初工程から出荷までを単一の組織で一貫して管理しない場合に発生する、部門間対立(セクショナリズム)を感じました。

樹脂成形で確固たる技術と実績を築いてきた彼らからすれば、当然の疑問です。MIM製品の品質は成形体の出来栄えで決まるため、射出成形が困難な材料は勘弁してほしいといった雰囲気でした。工程が分断されると、どうしても品質に対する責任の所在が曖昧になってしまいます。

しかし、私はあえてこう回答しました。「その通りです。MIMの成形は樹脂に比べて格段に難しいのです。特に高精度MIMを目指す場合、CSL(臨界粉末充填量)の限界付近を攻める必要があるため、射出成形は驚異的に難しくなります。樹脂成形では不良とされるジェッティングが、MIMでは必ず発生するためです。」

【珈琲ブレイ句】この事例の他に、プラスチック成形がメインで、MIMの脱脂焼結を別会社に依頼する会社があります。他人事ながら「外注リスク管理」をどうやっているのか心配になります。やはり、MIMメーカーとして、企画、営業、MIMフィードストック製造から出荷までの垂直統合が百人力であると強く感じた出来事でした。


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