ガスアトマイズ4605粉末、溶媒脱脂系バインダーを使ったMIMフィードストックによる焼結体の焼結密度、硬度、強度を特性とした研究論文( 2019年)です。
論文の要旨
4605低合金鋼のMIMにおけるレオロジー特性および機械的特性に及ぼすの粉末充填量の影響を調査した。バインダーはパラフィンワックス(PW)、ポリプロピレン(PP)、カルナバワックス(CW)、ステアリン酸(SA)を異なる割合で配合した2種類を比較した。粉末の配合量は、55、60、65体積%の3種の配合とした。焼結した引張試験片について、引張強度、硬度、密度、レオロジー特性を測定した。その結果、粉末充填量の増加に伴い、引張強度、硬度、密度が増加することがわかった。また、主鎖ポリマーの割合が高いほど、最終部品の機械的特性が向上することが観察された。最適な配合は、PW 55重量%、PP 25重量%、CW 15重量%、SA 5重量%の原料に、粉末を65体積%添加した系であった。試験片はMPIF 50引張試験用形状、ヘプタン溶媒脱脂、二次加熱脱脂・焼結(Ar雰囲気)。
【珈琲ブレイ句】粉末配合量が多いほど引張強度、硬度、密度が高くなっているのは納得できます。 一方、PPの割合が多いほど、同様に引張強度、硬度、密度が増加するという結果には注意が必要だと感じました。この主要因は炭素量で、PPの割合が多いほど炭素量が多くなっていることは論文から読み取れます。4605鋼なのにCが1wt%になっているものもあります(増加した残留炭素が0.5wt%程度ある)。 また、引張強度が高くなれば、衝撃強度は低くなっている可能性があり4605鋼の用途としては不適切な可能性があります。
低合金鋼において、プロセス管理が不十分な結果として生じた「炭素増加」をポジティブに評価するのは、再現性の観点からも非常に危険です。「炭素による強化」を謳うのであれば、本来は「脱脂・還元を完璧に行い、カーボンフリーにした後に、狙った量のグラファイトを添加して制御したデータ」と比較すべきです。現状のデータは「バインダーが抜けきらなかった副作用を、引張強度、硬度、密度の数値向上で正当化している」という側面が強いのではないでしょうか。つまり 「カーボンコントロールに課題がある」という論点が見落とされている?ということです。
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