2026年7月23日木曜日

Qサーモ®のすすめ

【「Qサーモ®」無償開放のお知らせ】

多くの皆様に「Qサーモ®」をご活用いただくための無償開放のお知らせです。2026/07/23

Qサーモ®の名称使用や製品の製作・活用をご自由に行っていただけます。


特にMIMメーカーの皆様におかれましては、自社のMIMフィードストックを用いてQサーモを製作していただき、品質管理(管理図X-Rによる、粉末品質の管理、熱処理履歴の管理、寸法不良の低減)にお役立てください。

焼結密度の平均値が突然変化した場合、Qサーモを基準(物差し)として比較・分析することで、変化の原因を特定しやすくなります。


Qサーモ®の目的とメリット

MIM/CIM成形品およびSinter-based AMの寸法精度向上 量産品と共に「Qサーモ®」を炉内定点に配置・測定することで、目に見えない熱履歴(ガス対流、伝熱、輻射)の管理図化が可能になる。フィードストックのロット間、リターン材配合ロット間の平均収縮率の変化の把握(管理図)と、異常値への対策。

焼結炉間の差の把握と調整  同じ条件でも、焼結炉によって焼結品の品質に差が生まれます。機差の設定温度をチューニングするための一つの物差しとする。

熱処理炉の熱履歴センサーは市販されています。 日本製「リファサーモ」、独製「TempTAB 」どちらも、Qサーモと同じ目的で使えます。でも、セラミック製なのでMIMと相性が完ぺきではありません。 その代わりに、QサーモをMIMフィードストックで作って、それを基準にすることをお勧めします。

Qサーモによる管理の実際 粉末製造ロットが変わったタイミングで、Qサーモをまとめて成形し、冷暗所、乾燥剤の中で、長期間管理します。複数の粉末ロット品を重複管理しておけば、粉末ロット間の変動も把握することができます。例えば、3種のロットの違うQサーモを一か所に隣接させて焼結して、同じ焼結寸法になれば粉末ロットの差なしで合格です。一方、焼結ロットの違いで差が出たら、熱履歴の差の原因を探して潰すか、プログラム温度の補正値変更として管理します。

思いもよらない効果も 粉末は同じスペック合格品でも、ロット間で変動(全く同じ成形条件・焼結条件でも焼結密度の平均値がズレる)します。その粉末ロット間変動の情報を粉末メーカーに開示して改善をお願いしていました。このようにQサーモという物差しと焼結密度の相関管理を厳しく行っていたら、何故か、粉末の品質が、だんだん良くなっていきました。

『MIM指南書』(2020年10月発刊)のP152-153にてQサーモ®詳細を解説しています。 

関連BLOG:「焼結ばらつき」はどうやって管理するのか

関連BLOG:リファサーモはMIMに使えるか? 

関連BLOG:熱履歴センサーTempTABを掘り下げる


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【MIM指南書】

【MIM技術伝道士HP】

市販MIM用フィードストックによるMEX事例(相対密度98%)

 市販のMIM用フィードストックを使ったMEX方式による積層技術の研究を共有します。


MEX装置:独AIM3D 社製「ExAM 255」MEX方式(スクリュー押出式) 3D プリンター


材料:独polyMIM GmbH 社製、市販フィードストック「polyMIM® 8740」の再生顆粒リサイクル品(水溶性バインダーPEG系)

実験の特性値:グリーン体の表面あらさ(非接触レーザー走査顕微鏡)、グリーン体の密度(アルキメデス法)

積層最適条件:押出倍率 107.6%、押出温度 180 ℃、ノズル速度 20 mm/s、積層厚み 0.050 mm 

結果1:グリーン体の相対密度>98%、グリーン体の表面粗さRa = (2.3 ± 0.1) μm


一次脱脂条件:一次脱脂(溶媒脱脂)60℃の水中(2Vol%防錆剤Inhibitor 4000)48時間

二次脱脂・焼結条件:乾燥大気中105℃で2時間、3.5 K/min、1.3 K/min、0.5 K/min、0.2 K/minの昇温速度で、200℃、300℃、440℃、450℃まで加熱。450℃で3時間保持後、0.5 K/minの昇温速度で600℃まで昇温し1時間保持。3.3 K/minの昇温速度で1280℃まで昇温2.5時間焼結。冷却1280℃から800℃までは炉冷、800℃から室温までは8.5 K/minの冷却速度で冷却。

結果2:焼結体の相対密度>98%


参考文献:「Optimization of composite extrusion modeling process parameters for 3D printing of low-alloy steel AISI 8740 using metal injection moulding feedstock」 Abdullah Riaz , Philip Töllner , Alexander Ahrend , Armin Springer , Benjamin Milkereit , Hermann Seitz ,Materials & Design Date: July 2022 Article: 110814 Volume: Volume 219


【珈琲ブレイ句】比較的新しい2022年の貴重な研究です。積層体の密度を優先させると表面粗さが悪くなるため、結論の最適条件は、密度と表面粗さを両立させた中間的な条件になっています。個人的には、密度を優先させたボイドの無い積層条件を採用するかもしれません。

使用した市販MIMフィードストックPolyMIM8740(NiCrMo鋼)は2種類ありますが、この研究で使ったものは、拡大率の大きな「1.2160」の方だと思われます。本研究の結果を追記すると、平均粒子径は2.39 µmとありますが、顕微鏡による測定なので「?」にしておきます。

また、熱重量分析ではバインダー量が 9.2 wt%と出ていますが、これはPP/PE系より密度の大きいPEG系バインダーを使用しているためです。体積率に換算すると約42vol% であり、適正な範囲内にあることが分かります。

(蛇足:バインダー量40%代は、一昔前のMIMバインダー量です。現在の高精度MIMは30vol%代です。MEXによる高精度MIMフィードストックを使った研究報告を待ち望んでいます。)

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2026年7月14日火曜日

産業用CTスキャンで何ができるのか?とその先を考える

 【珈琲ブレイ句】キャステムさんからCTスキャン受託サービスの案内メールが来たので、この機会に、素形材産業における産業用CTスキャンの利用技術について少し深堀したので共有します。

キーワードは「デジタルツイン技術」

 MIM製品では、検査で内部欠陥を極限まで排除するために製品設計、金型方案設計、成形条件を最適化することが基本です。しかし、金属3Dプリンター(Metal AM)による造形物において、欠陥のない完璧な製品を作ることは技術的に極めて難しく、Fコストの上昇を招いていました。

 そこで注目されているのが、『欠陥を前提としたデジタルツイン技術』です。従来は微細なボイドの検出だけで廃棄されていた部品を、産業用CTスキャンで得た「個体ごとのボイド位置や形状」を含むCAEモデルをそのままインポートします。

そのままデジタルの双子(デジタルツイン)

 そして、「この欠陥であれば実使用時の応力集中は許容値内であり、製品強度に問題ない」とデジタル空間でシミュレーションして合否判定を行う技術です。

 高価な一品一様の部品を無駄にせずQCDを最適化するこの手法は、自動車や航空宇宙業界で実用化されているようです。

CTスキャン利用技術のその先

3D静止状態だけでなく熱や圧力などの負荷、時間経過による内部挙動を捉える4D技術(3D+時間)」も登場しており、CAE解析を補完するリアルタイム測定へ広がっています。

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