2026年11月3日火曜日

Custom 465ステンレスのMIM化へのポイント

今後、Custom 465ステンレスがMIMで採用される事例が多くなると考えています。そこでMIM製造のポイントをまとめておきます。

《ニーズ》

Custom 465はSUS630(17-4PH) や 420J2 では強度が不足するような極小・薄肉設計(壁厚 0.3〜0.5mm)でMIM化のニーズを秘めている。


《長所・特徴》

1)MIMで約1,655 MPaの引張強さを達成した研究実績がある

2)高い硬度(HRC54)と高靱性

3)SUS304相当の高耐食性

4)析出硬化処理条件による特性調整が可能


《製造上の注意点》

SUS630の強化元素はCuですが、465の強化元素はTiです。このTiが多いので焼結工程に技術力が必要になります。

1)焼結条件の管理が難しい。最適な焼結温度範囲が狭い。1379℃でほぼ理論密度に達する。

2)Ti含有量=1.50~1.80wt%。Ti酸化物による焼結阻害。 HIP処理した試験体で1~2%の気孔率を示した。気孔近傍ではTiが多く,その酸化物が焼結を阻害したと考えられる。

【珈琲ブレイ句】チタンの酸化管理と焼結条件の最適化が鍵になります。64Ti合金を商品化しているMIMメーカーであれば楽勝ですね。

それにしてもHIPをしたら、気孔率が増加するとは面白い現象です。気体は還元反応ガスCOで、気孔が増加した理由は、チタンの酸化被膜で相互拡散を妨げられた気体が集合して気孔になった。と理解しました。

D2273

参考文献:CUSTOM 465 STAINLESS STEEL FABRICATED BY METAL INJECTION MOLDING (MIM) ROUTE、CHEN David(Arc Group Worldwide, FL) ,  BANDYOPADHYAY Ananyo(Arc Group Worldwide, FL) ,  ENDO Ken(Arc Group Worldwide, FL) ,  NICHOLS Ashley(Arc Group Worldwide, FL) ,Advances in Powder Metallurgy & Particulate Materials ,2014- Vol.2 


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2026年11月1日日曜日

MIM-Like AMとMIMの比較

「MIM-Like AM」をタイトルにつけた論文※1を見つけました。また、近年、GGIは、自社の光造形PureForm™を「Precision MIM-like parts」と呼んでいます。

  MIM-Like AM=Sinter Based Metal AM

本家のMIMと対応させて、代表的な3つのMIM-Like AMの立ち位置と特徴を整理し直しました。


DLP / 光造形(LMMやPureForm™など)

「MIM-Like」という言葉のイメージに最も近い特性を持っています。表面が滑らかで微細精度が高いため、MIMの試作品や小ロット代替として非常に相性が良い手法です。

MBJ (Metal Binder Jetting)

金型レスで高速造形ができるため量産スケールにも対応可能ですが、粉末を敷き詰める性質上、表面のざらつき(粉末の付着)をどう抑えるかがMIM品質に近づけるためのポイントになります。

MEX (金属フィラメント / FDM)

設備コストや導入の手軽さで優れる一方、積層痕が目立ちやすく、MIM同等の面粗度を得るには研磨などの後加工が前提となりやすい特徴があります。


関連資料:Metal AM とMIMの共存共栄の時代 ”MIM-Like AM”を本文に使った拙著です。

※1:「MIM-like additive manufacturing of Fe3%Si magnetic materials」Journal of Magnetism and Magnetic Materials」 Date: 15 December 2022 Article: 170104 Volume: Volume 564, Part 2

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2026年10月30日金曜日

超音波アトマイズについて

 超音波アトマイズ(Ultrasonic Atomization)」の概念図を描いてみました。

原理:溶かした金属の液滴に超音波振動を与えることで分裂・微細化させる。

特徴:


【珈琲ブレイ句】MIM用の粉末も製造できるということですが、どのくらいまで微細粉末を製造できるのか、理論式から推算してみました。粒径は振動板の周波数の2/3乗に反比例します。この「ラングの式」に基づき、超音波の振動数fをX軸、液滴の平均粒径dをY軸としたグラフを作図※1しました。
現状の超音波アトマイズ装置の周波数は50kHzが実用限界※2です。そのため、MIM用粉末の平均10μm、22μmアンダーを製造するのは相当難しいことがわかります。

粉末には分布があるので分級すればMIM用粉末も製造できますが収率が悪いのでコストの課題が残るでしょう。

しかし、溶射用材料などを元に、実験室レベルでサテライトのない高品質なAM用球状粉末を製造できます。素晴らしい技術です。

国内で研究開発に利用できる設備はこちらです。   

※1:金属物性値(密度 ρ=7000kg/m3、表面張力 γ=1.0 N/m)と仮定して計算
※2:超音波振動数を大きくすると振幅が小さくなるのでアトマイズ作用が頭打ちになるため、現在実用化されているものは最大52~60KHzです。