2026年8月23日日曜日

AIによる成形条件自動調整システムにおけるベイズ最適化

㈱MAZINが、東京都立産業技術研究センターの公募型共同研究(2020年)で行った「AIによる成形条件自動調整システム」について共有化しておきます。これは、ベイズ最適化とAIを使った最適成形条件探索方法の開発です。

《概要》良品成形(熟練者による条件)と同じ品質になるように、ベイズ最適化とAIを使って成形条件を自動調整するシステム。

金型内部の圧力データを活用した動的ベイズ学習モデルによる状態推定を行うことで不具合原因の究明を効率化する「金型内部状態推定方法の開発」。

《効果》非熟練者への技能伝承が十分に行われていない現場であっても、成形にかかるリードタイムを短縮することができる。金型内部状態推定方法を適用することにより、不具合原因の究明を効率化させることができる。

【珈琲ブレイ句】このシステムは、始めに最適条件(初期値)を入力します。そして、テスト成形を繰り返すと、AIが自動的に学習して調整条件を見つけてくれます。この新たな最適条件で生産を始めればOKというわけです。

これにより、熟練者がいなくとも、4Mが少し異なっても、瞬時に成形条件をチューニングしてくれるという素晴らしい開発です。

ただ、気になるところがひとつあります。始めに用意する初期値が「最適条件」ですかという疑問です。 また、品質工学のロバスト性能を追求した最適化とは根本的に異なっています。

この疑問の解決方法は、始めに用意する最適条件を、品質工学(タグチメソッド)によるロバスト性の高い最適条件にすれば解決しそうです。Taguchi-Bayesian Optimization(タグチ・ベイズ最適化)の世界ですね。

情報元:株式会社MAZIN「動的ベイズ学習モデルによる射出成形機のloT化」~射出成形の日々の条件調整でお困りの方へ~

関連BLOG: タグチメソッド・パラメータ最適化とベイズ最適化の比較

関連BLOG: タグチメソッド・パラメータ最適化とベイズ最適化②

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2026年8月15日土曜日

Indo-MIMの垂直統合戦略から学ぶ

Indo-MIMの垂直統合戦略が素晴らしいのでまとめておきます。

①「MIMだけじゃなく削り出しで高付加価値品も作る」

材料証明・品質保証(NADCAP等)のハードルが高い航空宇宙関連の部品を受注するために、「航空宇宙・精密機械加工事業部」を立ち上げています。NADCAP認証、AS/EN/JIS Q 9100、ISO 13485を取得し、航空宇宙分野や医療分野へ進出しています。

②「Indo-MIMに頼めば何とかしてくれる」

MIMと精密機械加工事業部の両方を活かした補完関係により、あらゆる「要求仕様・数量・予算」に対して最善のソリューションを提示できます。窓口を広く取ることで、金属加工業としての差別化を図っています。

「安全第一の重要構造部材や大型部品、小ロット品には精密削り出し加工が適しており、複雑・小型で一定の数量が出ている機構部材にはMIM+精密後加工が非常に有効である」という、適材適所の役割分担を明確化し営業活動で生かしています。

また、金属3Dプリンター(BJT方式のSinter-based Metal AM)による部品も内製化しています。MIM化へ向けた試作や、MIMでは成形が難しい部品の、短納期・少量生産にも対応しています。

③「生産体制は基本と最先端の融合」

リーン生産方式(トヨタ生産方式)、品質管理(TQC)、工程FMEAなどの基本の生産体制を確立しています。さらに、精密機械加工事業部では、OEEを活用したスマートファクトリーシステムを構築し、加工機械の稼働時間や、工具の履歴データまでIoT化して一か所で見える化管理をしています。

【珈琲ブレイ句】 INDO-MIMの成長とポジショニングを見ると、優れた技術力に加え、マーケティングや事業構造の組み立て(営業戦略)が非常に緻密で洗練されています。グローバルで存在感を増す強力なライバルですが、現場の愚直なカイゼン精神や細やかな品質追求は、日本メーカーが得意とする領域そのものです。この戦略的アプローチを参考にしつつ、自社の強みを再定義して立ち向かいたいですね。

ちなみに、精密機械加工事業部の工作機械には、森精機の多軸マシニング、大隈の複合加工機が使われています。

関連BLOG: BJTとMIMの境界線

関連BLOG: 世界のトップレベル「INDO-MIM社のBJT技術」から学ぶこと

関連BLOG: INDO MIMが取得している認証資格


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2026年7月27日月曜日

Sinterbased Metal AMの高強度化はHIP処理

 【珈琲ブレイ句】

Sinterbased Metal AM のBJT品やMEX品のボイドを完全に無くすのは至難の業です。

MEXの研究論文では、「積層厚みが小さい方が密度が高くなる*1」と結論を出しています。一方「積層厚みが小さいほどボイドが多くなる*2」という報告もあります。

一方、ボイドが残存していても、『欠陥を前提としたデジタルツイン技術』を使えば、不良率を大幅に低減させることができるという救済技術も存在します。

    Sinterbased Metal AMの高強度化はHIP処理がBest!

しかし100%合格品で最高強度を望む場合には『焼結体にHIP処理を行う』ことがBESTな方法だと考えています。

さらに可能性があるBetterな方法は『温間CIP』です。『油圧発生装置に増圧装置を接続し、作動油の温度を上げてCIPを行う方法です。』MIM成形体でのCIP実験で効果を確認しています。

注意すること。HIPとCIPは「閉気孔(へいきこう)体」にだけに効果があります。「開気孔(かいきこう)体」である脱脂体や仮焼結体には効果がありません。 

都立大学の研究では、仮焼結体にコーティングしてHIPを行っていました。すばらしいアイデアです。


関連BLOG:MIMにおけるHIPとCIPの活用法をまとめる


*1  「Optimization of composite extrusion modeling process parameters for 3D printing of low-alloy steel AISI 8740 using metal injection moulding feedstock」 Abdullah Riaz , Philip Töllner , Alexander Ahrend , Armin Springer , Benjamin Milkereit , Hermann Seitz ,Materials & Design Date: July 2022 Article: 110814 Volume: Volume 219

*2  「Taguchi DoE analysis and characterization of 17-4 PH stainless steel parts produced by material extrusion (MEX) process 」Mahmoud Naim, Mahdi Chemkhi,, Julien Kauffmann, Advances in Industrial and Manufacturing Engineering 8 (2024) 100138

 

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