2026年11月1日日曜日

MIM-Like AMとMIMの比較

「MIM-Like AM」をタイトルにつけた論文※1を見つけました。また、近年、GGIは、自社の光造形PureForm™を「Precision MIM-like parts」と呼んでいます。

  MIM-Like AM=Sinter Based Metal AM

本家のMIMと対応させて、代表的な3つのMIM-Like AMの立ち位置と特徴を整理し直しました。


DLP / 光造形(LMMやPureForm™など)

「MIM-Like」という言葉のイメージに最も近い特性を持っています。表面が滑らかで微細精度が高いため、MIMの試作品や小ロット代替として非常に相性が良い手法です。

MBJ (Metal Binder Jetting)

金型レスで高速造形ができるため量産スケールにも対応可能ですが、粉末を敷き詰める性質上、表面のざらつき(粉末の付着)をどう抑えるかがMIM品質に近づけるためのポイントになります。

MEX (金属フィラメント / FDM)

設備コストや導入の手軽さで優れる一方、積層痕が目立ちやすく、MIM同等の面粗度を得るには研磨などの後加工が前提となりやすい特徴があります。

参考資料:Metal AM とMIMの共存共栄の時代 造語の”MIM-Like AM”を本文に使った拙著です。

※1:「MIM-like additive manufacturing of Fe3%Si magnetic materials」Journal of Magnetism and Magnetic Materials」 Date: 15 December 2022 Article: 170104 Volume: Volume 564, Part 2

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2026年10月30日金曜日

超音波アトマイズについて

 超音波アトマイズ(Ultrasonic Atomization)」について共有します。

原理:溶かした金属の液滴に超音波振動を与えることで分裂・微細化させる。

特徴:


【珈琲ブレイ句】MIM用の粉末も製造できるということですが、どのくらいまで微細粉末を製造できるのか、理論式から推算してみました。粒径は振動板の周波数の2/3乗に反比例します。この「ラングの式」に基づき、超音波の振動数fをX軸、液滴の平均粒径dをY軸としたグラフを作図※1しました。
現状の超音波アトマイズ装置の周波数は50kHzが実用限界※2です。そのため、MIM用粉末の平均10μm、22μmアンダーを製造するのは相当難しいことがわかります。

粉末には分布があるので分級すればMIM用粉末も製造できますが収率が悪いのでコストの課題が残るでしょう。

しかし、溶射用材料などを元に、実験室レベルでサテライトのない高品質なAM用球状粉末を製造できます。素晴らしい技術です。

国内で研究開発に利用できる設備はこちらです。   

※1:金属物性値(密度 ρ=7000kg/m3、表面張力 γ=1.0 N/m)と仮定して計算
※2:超音波振動数を大きくすると振幅が小さくなるのでアトマイズ作用が頭打ちになるため、現在実用化されているものは最大52~60KHzです。

2026年10月29日木曜日

Catamold 17-4PHの焼結雰囲気に関する研究

2024年の論文を共有します。17-4PHの研究で、コストダウンを目的に、BASF推奨の「水素」より安価な「窒素」と「0.2%水蒸気+窒素」の雰囲気で焼結を行って実用上問題がないかを検証しています。

参考文献:Corrosion behavior of 17 - 4PH steel, produced by the MIM process, sintered in different atmospheres、 Otávio Real Cappellaro, Jorge Luis Braz Medeiros 他、 Matéria (Rio de Janeiro), Vol. 29, No. 3 (2024), e20240120

フィードストック:BASF Catamold 17-4PH

脱脂:触媒脱脂(硝酸125℃)

焼結:サンプル1:窒素、1350℃  サンプル2:0.2%水蒸気+窒素、1350℃

結果:

・マルテンサイト系母材と均一に分散した金属間化合物で構成されている

・窒素と水蒸気で焼結されたサンプルの方が気孔率が高い

・硬度と強度は、窒素で焼結されたサンプルの方が高い

・窒素で焼結されたサンプルの電気移動抵抗は、窒素と水蒸気で焼結されたサンプルより高い(=錆びにくい)

結論:コスト削減などのために窒素(や水蒸気)で焼結する試みを行ったが、耐食性を最優先する現場においては、やはり従来通りの『水素還元雰囲気での焼結』こそが、現在確立されている最も優れた技術(最高水準の標準手法)である。


【珈琲ブレイ句】17-4PHの焼結には、やはりBASFが推奨する水素での焼結が良いという結論です。でも、論文中の耐食性に対応するBASFのデータの記載がありません。仕方が無いので、自分で探しましたが公開データを見つけることができませんでした。

補足:私が現役だった頃、SUS630製の一般機械部品は窒素雰囲気中で焼結していました。上表の通り、機械的特性は、水素焼結品と比べて大差はありません。また、溶体化・時効処理で真空環境にすれば表面のクリーン度は向上し防錆にも有利になりました。

それでも耐食性を重視する場合は、水素雰囲気焼結がBESTだということですね。ただし、水素雰囲気の脱脂焼結炉には、排気燃焼装置と防爆仕様の扉が不可欠です。

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