【珈琲ブレイ句】技術コンサルタントがネガティブに感じた事例の5回目です。あるMIMメーカーで行ったMIM講習会の質疑応答で感じたことを共有します。良い悪いの話ではなく個人的な感想です。
《状況》
その会社は、金型から社内製造している樹脂成形の一流専門メーカーです。新設された「MIM製造課」の成形工程は、高い技術力と実績を持つ既存の「成形課」へ委託される形で進んでいました。
《質疑の内容》
成形課の担当者から「MIMフィードストックの成形性が非常に悪い。何とか改善できないのか?」という質問を受けました。
樹脂成形で確固たる技術と実績を築いてきた彼らからすれば、当然の疑問です。MIM製品の品質は成形体の出来栄えで決まるため、この体制には社内的に多くの課題が潜んでいると感じました。しかし、私はあえてこう回答しました。「その通りです。MIMの成形は(樹脂に比べて)格段に難しいのです」
《私見》
ここに、MIMの初工程から出荷までを単一の組織(MIM製造部など)で一貫して管理しない場合に発生する、部門間対立(セクショナリズム)を感じ取りました。工程が分断されると、どうしても品質に対する責任の所在が曖昧になってしまいます。
特に高精度MIMを目指す場合、CSL(臨界粉末充填量)の限界付近を攻める必要があるため、射出成形は驚異的に難しくなります。樹脂成形では不良とされる「ジェッティング」が、MIMでは必ず発生するためです。こうした無理難題に対して、悲観せずポジティブに挑戦できる技術者が活躍できるような、組織環境の構築が不可欠であると強く感じた出来事でした。
《おまけ》
EV自動車のテスラが凄いのは、テスラ1社で、企画、開発設計、製造、宣伝、販売、充電ステーションのインフラ整備まで、すべての垂直統合を責任をもって行っていることです。
一流のMIMメーカーを観ると、やはり「垂直統合型製造」を行っています。世界で見るとインドMIMがそうでしょう、粉末製造も始めています。 国内では、粉末製造は無理だとしても、MIMフィードストック製造から始める垂直統合型MIM製造が理想ではないかと感じています。