【珈琲ブレイ句】焼結でMIMの表面に着いたコンタミを除去する目的でガラスビーズ・ショットブラスト(ホーニング)を掛けるときには射出圧の上げすぎに注意が必要です。
簡単な実験結果を共有しておきます。 射出圧力が5kg/cm2のときはし射出所間を伸ばすと表面あらさが劣化し、低圧3Kg/cm2に下げるとRmax8μmで一定になっていることがわかります。
関連BLOG: MIMのガラスビーズによる表面あらさについて
【MIM技術伝道士の深すぎるブログ from 2017】
【珈琲ブレイ句】焼結でMIMの表面に着いたコンタミを除去する目的でガラスビーズ・ショットブラスト(ホーニング)を掛けるときには射出圧の上げすぎに注意が必要です。
簡単な実験結果を共有しておきます。 射出圧力が5kg/cm2のときはし射出所間を伸ばすと表面あらさが劣化し、低圧3Kg/cm2に下げるとRmax8μmで一定になっていることがわかります。
関連BLOG: MIMのガラスビーズによる表面あらさについて
2026年のロールス・ロイス・イノベーション賞を受賞した『金属射出成形プロセスにおける焼結接合法の研究』を共有します。
単一成形では作れない形状を実現させるため、別々に成形したMIM部品を焼結で接合一体化させる研究です。
《材質》Inconel 713 Low Carbon
《接合法》溶媒(アセトン)による脱脂体の2部品を接着剤ペーストで接着。焼結で一体化
《評価項目》引張試験、低サイクル疲労試験、クリープ試験
《接着剤ペースト》3種類
ペーストA 溶剤に溶解させた、当該システム固有のポリマー
ペーストB 溶剤に溶解させたポリマー
ペーストC ペーストBに、当該システム固有の充填材フィラーを添加したもの
比較として、ペーストを使わない接合部品と一体部品(未結合の基線材料)で行われた
《結果》
引張試験:一体部品とフィラー入りのペーストCが最も良好で同等
クリープ試験:一体部品とペーストBおよびCが同等
疲労試験:ペーストBが最も優れる、一体部品の代表値と最小値の間
参考文献:“A Study on a Method of Sinter Joining in the Metal Injection Moulding Process ” Ralf Mikael, Dr. Enrico Daenicke, Dr. Thomas Hartwig , Manuscript refereed by Mr Maetzig Marko (ARBURG GmbH + Co KG, Germany) , Euro PM2024 - Session 50: Ferrous Materials - Stainless Steel, European Powder Metallurgy Association (EPMA)
【珈琲ブレイ句】ペーストの詳細が不明なのが残念です。フィラーとは何でしょうか? PMMAのサブミクロン粒子かな??
焼結体の炭素量が不明なのも残念です。Low Cabonの規格(0.03 wt% 〜 0.07 wt%)に入れるのはかなり難しいはずです。二次加熱脱脂・焼結条件も不明です。炉はElnik-MIM3000なので部圧制御の水素環境下で脱炭焼結(C+2H2→CH4)を行っている可能性があります。
ロールス・ロイスの社内賞を受賞した論文ということなので、自動車部品で、多部品一体化のニーズがあるということですね。 スーパーアロイのInconel 713 LCを使うターゲット部品を3つ想像しました。
①可変ノズルターボの可変ベーン・リンク部品 ②エキゾーストバルブ部品 ③ウェイストゲートバルブ部品
たいへん勉強になる論文でした。課題は、接合部分のズレ・ペーストのはみ出し、完全密着一体化(HIP)、接合部の機械加工が必要か? などいろいろ考えられます。
補足:MIMの2部品一体化は、かなり古い研究テーマです。日本では、1999年に発表された三浦先生の「新しいMIM接合プロセスの開発とその応用」で学ぶことができます。
近年発表されたハンガリーの大学とMIMメーカーAFTとの共同研究を共有します。 この論文は、MIMフィードストックの再利用(リサイクル)が、熱分解特性、レオロジー特性、収縮率等に与える影響を定量的に評価しています。
《MIM仕様》
粉末:4605、 バインダー量:45VOL%、 バインダー成分(推定):P-W55wt%、PP25wt%、SA5wt%、C-WAX15wt%
試験片:ASTM準拠 ISO2740のAタイプ(穴あき)
脱脂焼結時間:30H 「内訳:一次脱脂:加熱脱脂(~230℃)×5H、二次脱脂:加熱脱脂(~630℃)×7H、焼結1330℃、雰囲気:N2 」
《試験分析内容》「成形→粉砕→成形」をリサイクル1回とする。連続リサイクル8回分までの試験分析を行う。
MFI(Meit Fow Index)、SEM-EDS(微細構造解析-元素分析)、DSC(示差走査熱量測定)、TGA(熱重量分析)、収縮率
《結果》
・再生4サイクルまで、標準的な射出条件で熱的および流動特性は維持される。
・収縮率は再生4サイクルまで一気に上昇している。これはSAやWAX類の蒸発によるものである。
・WAX類の蒸発により粘度は上昇すること、PP高分子のポリマー鎖が再生で切断され粘度が低下すること、両者が相殺して粘度が維持されている。
参考文献:”Impact of recycling on polymer binder integrity in metal injection molding”, György Ledniczky, Ferenc Ronkay, Pál Hansághy & Zoltán Weltsch, Scientific Reports | (2025) 15:21600
【珈琲ブレイ句】WAX類の蒸発を炭素量測定により検証しており、素晴らしい論文です。
少し疑問点もあります。このバインダーは実際にAFT Hungary Ltd.でMIM製造に使われているのでしょうか? おそらく研究用の材料だと思われます。なぜなら、バインダーが多すぎるのです。
もう一つの疑問は、一次・二次の加熱脱脂の焼結(シングルステップ系)で30Hで完了しています。ポリマーがPPではないかもしれません。POMあるいはPMMAの可能性があります。
【補足】 実際のMIM現場では、リサイクルだけを単純に繰り返すことは行われていません。リサイクルを繰り返す度に、バージン材を定量混ぜて成形材料としています。そうすることで1回目から安定した品質を確保することができます。 詳細は「MIM指南書P84 4.1.3 リターン材の利用法」を参照してください。