2026年5月7日木曜日

これから、直交表を使った実験を始める方にアドバイス

交互作用を全列に交絡させたL18直交表(18回の実験で8因子)を使うことをお勧めします。 タグチメソッドは交互作用の研究は行いません。また、分散分析も不要です。要因効果図を描いて最大値の水準を選び確認実験を行って再現性があればOKです。

昔、TM研で学んでいたとき、田口先生が「分散分析など難しいことを教えるから現場が使わないんだ」と仰っていました。実験計画表上下(丸善)の著者である田口先生なのに、凄いことを言うなと思いました。

その真意は、たぶんこんな感じです。

「実験計画法は「Why」の追求、タグチメソッド(品質工学)は「How」の追求。 現場で早く最適なパラメータを見つけて早く改善する。現場の改善が先で、なぜそうなるのかは後でも良い。現場に使ってもらうことを優先せよ。」

田口先生は、交互作用を全列に交絡させたL18直交表を使うだけでなく、さらに外側に調合誤差を割り付けて、誤差による影響を積極的に実験に取り入れる方法を提案されました。これにより環境誤差等に影響を受けない頑健な条件を見つけることができます。これがタグチメソッド(品質工学)です。

関連BLOG:品質工学と実験計画法の違い


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2026年5月3日日曜日

マイクロ金属射出成形の田口メソッドを使った論文から学ぶ

 田口メソッドを用いたマイクロ金属射出成形における成形体強度を特性値とする射出成形のパラメータ設計より

Single Performance Optimization of Micro Metal Injection Molding for the Highest Green Strength by Using Taguchi Method 、Vol. 2 No. 1 (2010)  International Journal of Integrated Engineering

《実験仕様》

直交表:L27 3水準系  (27回の実験で5因子、それらの交互作用)

粉末:Epson Atomix SS316L-PF10F(TD:4.06g/cm3、D50:5.96μm)

バインダー(PMMA,PEG,SA:25,73,2)。 

粉末配合:61.5vol%、

テストピース:ダンベル型(外寸9×1.1×t0.8mm)、サイドゲートt0.32mm

特性値、成形体の強度(MPa)、反復5、膨大特性のSN比に変換して分析

《制御因子と水準》

《結果》


コメント:

有意な制御因子は、A、C、A×B


【珈琲ブレイ句】初めにあれ?と感じたのは、タップ密度が低いこと(TD:4.06g/cm3)、2014年のメーカー発表データでは4.5g/cm3ですから相当低いのです。2010年頃の粉末品質が良くないのか、タッピング密度の測定方法が旧式だったのか? あるいは記載ミスの可能性もあります。粉末写真の掲載があれば推測できたのですが・・・。

 本実験からわかることは、成形体の強度を高くするためには、「金型温度は高い方がよい」ということです。 金型温度は実験水準内の外、さらに高い方向に最適解があることがわかります。追加実験と確認実験は必要ですね。

 射出圧力Aと射出温度Bとの間に交互作用が発生しています。その理由を2つ考えてみました。 ①フィードストックの成分に潤滑材が少ない。SAを増やす、PWを付加する。②マイクロMIMの実験ということですが、粉末は普通のMIMに使用するPF10Fです。そのため小さなゲート近傍で金属粉末とバインダーが分離している可能性があります。マイクロMIMであれば、PF5くらいの微細粉末を使ったら結果が変わっていたかもしれません。


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2026年4月21日火曜日

ゲルベース金属3Dプリンティング技術を学ぶ

 米国のスタートアップ 3D Architech Inc. が開発したゲルベースの金属3Dプリンティング技術(GEMM: Gel-enabled metal manufacturing)について少しまとめておきます。同社 の共同創業者兼CEOである 成田 海(なりた かい)氏 が中心となって開発した、従来の金属3Dプリンターの常識を覆す高精度と低コストの両立を実現させた画期的な手法です。

3D Architech, Inc. 

《造形方式》 金属塩を含む特殊なゲル(感光性樹脂)を、光造形3Dプリンターで硬化させた「ゲルの造形物」を、脱脂、焼結還元を経て金属造形物へと置き換える。

《超微細造形》 従来の金属プリンター(MEX,BJT)の解像度が100μm程度であるのに対し、10μm以下という極めて微細な構造(マイクロラティスなど)の造形が可能。

《汎用プリンターの活用》 高価な装置を必要とせず、市販の安価な光造形機(SLA/DLP)でも造形が可能。

【珈琲ブレイ句】3D Architechの積層する金属材料は、金属粉末ではありません。ゲル化分子レベルの金属塩を造形するAM技術です。

目指すターゲットは、髪の毛よりも細い構造を組み合わせた「マイクロアーキテクチャ(微細格子構造)」です。10μm単位の極薄の壁や、複雑に絡み合う微細な管路など、他の方式では物理的に不可能な領域を狙っています。

MIMやMEX、BJTは部品を造形するものですが。3D Architechは、単なる「形」を作るだけでなく、金属の微細構造によって熱交換効率や触媒性能などの物理的な限界値を引き上げる金属の「機能」を再定義する可能性があります

現在、造形物は純金属が主流ですが、数種類の金属塩を使うことで合金も可能らしいです。日本人が発明した新技術に期待しています。

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