2021年7月29日木曜日

【2021年内1枠限定】島津炉で脱脂焼結のサンプルテストやってみたい方募集

島津の脱脂焼結炉でサンプルテストを実施してもらえることになりました。もし興味のある方は下記、弊所のHPから問い合わせください。下記3つの条件に合致する方募集中。

「この企画は12/27で終了しました」

①1回だけですが脱脂焼結サンプルテスト(10万円)を無料にしていただけることになりました。無料は2021年12月まで1枠のみ。

②MIM-Like AMのグリーン体 あるいは MIMのグリーン体を準備できる方。(MMの成形材料フィードストックは弊所からメーカーと仕様を紹介しています。)

島津製脱脂焼結炉の導入を企画されている方


【関連ブログ】MIM製造を始めたい人の「オプティマムサイズ」は?

問合せ:日本初のMIM技術伝道士「無料相談のお気軽相談窓口係」へ

2021年7月28日水曜日

MIM製造を始めたい人の「オプティマムサイズ」は?

 MIM事業化を検討されている方に、必要最低限のMIM設備インフラを紹介する。4つのクラスに分けてそのオプティマムサイズを提案する。

《味見お試しクラス》フィードストック:市販品購入、射出成形機:手動式ホビー機を購入、金型:自作、一次脱脂:自作溶媒脱脂装置、二次脱脂焼結:実験用管式熱処理炉を改造

《AMを持っている方の挑戦クラス》フィードストック:AM(FDM,FFF)フィラメントを細かく砕く、射出成形機:手動式ホビー機を購入、金型:自作、一次脱脂&二次脱脂焼結:AMにバンドルの装置を転用

《プラスチックメーカー初心者クラス》 フィードストック:市販品購入、射出成形機:自社の熟練者、金型:社内遊休金型、(一次脱脂:自作溶媒脱脂装置、)二次脱脂焼結:島津産機システムズ「VHS-CUBE」購入    ◆島津炉で試作をしたい方はこちら◆

《プラスチックメーカー上級者グレードアップクラス》 プラスチックメーカー初心者クラス+二次脱脂焼結:島津産機システムズ「MIM脱脂焼結量産VHS炉」購入


【珈琲ブレイ句】肌感覚ですがMIMの品質の70~80%は射出成形工程で決まります。ですから、MIM事業化を始める方は「プラスチック射出成形メーカー」が断然有利なのです。マラソンで例えれば折り返し地点からスタートするくらいのアドバンテージです。まず、気楽に味見をしてほしいと思います。

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MIM-Like AMの位置付け

 AM(付加製造)の中のMIM-Like AMの位置を体系図の中で確認しました。

《セルフ増補》エクセルやワード等にコピペで印刷(60%縮小)して、MIM指南書P31のコラム下の空欄に貼り付けてください。


2021年7月21日水曜日

焼結中のスランプ(熱軟化)

 MIM指南書「金属粉末射出成形ガイドブック」5章 5.11 崩れ・変形 P170の空きスペースに下記内容を手書きで追記願います。

【原因】の4項として

4 焼結中のスランプ(熱軟化) 事例:焼結中(SUS630)温度が上昇すると焼結体の強度は上昇するが1200℃をピークに下降に転じる。

【対策】の6項として

6 ピーク温度の保持時間を短くする。密度不足の場合、昇温速度の最適化を行う。→関連ブログ「緻密化に重要な焼結昇温速度設計

《誤記訂正》同P170 上から5行

 誤:の量がい  正:の量が多い


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2021年7月20日火曜日

軟磁性材料 Fe35Co

MIM指南書「金属粉末射出成形ガイドブック」6.2 材料別研究論文ダイジェスト 磁性材のP218とP219の間に貼り付けてください。(画像をコピー→ワード等に貼付→印刷)


【珈琲ブレイ句】Fe-Co合金は、耐食性が高く、キューリー点が高いので高温環境で使われる各種電磁コアとして使われています。MIM製造のポイントは焼結温度を高くして、焼結密度を上げ、さらに結晶サイズ(grain size)を大きくすることで、軟磁性材料として要求される特性、透磁率を高く(磁化しやすい)、保磁力(磁化を解く抗磁力)を小さくすることができます。論文では2%H2のArを流して還元雰囲気で焼結し残留炭素=0.020wt%を確保していますが、H2量が2%と少ないので還元減少より、二次脱脂の触媒脱脂の恩恵が大きいかもしれません。なぜなら触媒脱脱脂は溶媒脱脂同様バインダー残渣(C%増)が極少だからです。

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金属AMの「Direct」と「Indirect」そして「MIM-Like AM」

 金属粉末を利用するAM技術(3Dプリンター)の技術分類として「Direct」と「Indirect」がある。まず後者のIndirect(間接)は、技術的に完成された「粉末冶金の粉末焼結技術」でPMやMIMのことである。一方、前者のDirect(直接)は「粉末溶融凝固技術」のことで新しい技術である。例えばArcamでは電子ビームを使い粉末を瞬時に溶かし瞬時に凝固させ直接造形させるものである。

本ブログで勝手に命名している「MIM-Like AM」とは、「AM技術による積層物(グリーンパーツ)」を「Indirect」で「MIM-Method(脱脂焼結)」によりシルバーパーツを作る技術としている。そして、機械的性質はMIM相当を目指しているものである。従って、「Sinter-bassed AM methods」とも同義である。

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2021年7月17日土曜日

【おしらせ】MIM入門連載開始 型技術2021年8月号 7/16発売

 型技術(日刊工業新聞)2021年8月号 Vol.36 No.8 P84-87

  【新連載】1回

  基礎から学ぶMIM~金型設計から新事業展開まで~ ■1

  MIMの特徴と他工法との違いを知ろう

    型技術2021年8月号

1年間の連載です。「MIMの基礎」から「AMからようこそMIMへ」まで、ゆっくりと道案内していきます。
PS. 他の技術士さんの連載記事で「射出成形の不良と対策」は、MIMでも同様の不良があり、大変勉強になります。


2021年7月15日木曜日

バインダージェット方式が自動車GMに採用された

 BJT方式で作られた金属AM部品がゼネラルモーターGMの車に採用された。どんな部品なのか。そこから感じたMIM-Like AMの未来についての私見。

Azoth-3D社が、BJT方式のAM(たぶんDesktopMetalかな?)を使ってGM車のために作った部品は、マニュアル車のシフトレバーの握り部分の「デザイン部品」でした。ここから感じること。 

Azoth-3D 20210707

・マニュアル車なので生産数が少ない ・デザイン意匠部品であって機能部品ではない ・ザラザラした見た目が武骨だけど、逆にカッコイイ(マニュアルにこだわる頑固者にうけそう)

【珈琲ブレイク】「AMからようこそMIMへ」を唱えているのは次のような予測があるからです。それは、大量生産は、やはり金型転写を利用する工法がQCDで有利で、現実的だと考えているのです。上記の例では大量生産部品というより、プライベート部品の様相が強いと感じます。むしろ、「お客様の名前も造形しちゃいます!」というサービスに発展させれば、さらに付加価値が倍増します。MIM-Like AMの最大の利点は、金型不要の超短納期なので、その利点を生かしたビジネスモデルが主流になると感じます。それから、MIMに移行する前の試作で使うニーズ(超短納期実装機能試験)です。コンピューターシミュレーションと同期・並行させた実装試験で垂直立ち上げさせる潜在ニーズがあると思うのです。

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2021年7月14日水曜日

家庭でMIM-Like AMの時代が来ている

 アメリカ・イリノイ州のサファイア3D社は、eコマースのプラットフォームを使ってMIM-Like AMのサービスを始めている。商品は、FDM用のフィラメント販売(銅、ブロンズ、316L、17-4PHなど)、小型焼結炉の販売および受託焼結サービス。 小さな焼結炉は120V仕様で最高温度1370度が可能、ガスもオプションで流せる、フル仕様で$4100。316Lのフィラメントは5Kgで$142(1Kgで約3100円)。

【珈琲ブレイ句】いよいよ家庭でMIM-Like AMが焼結できる時代が始まりました。これはアメリカの話しですが、もうすぐ日本にも上陸してくるでしょう。焼結炉も約45万円であればマニアなら購入できる金額だし、さらにSUS316Lフィラメントが、キロ約3100円はリーズナブルなので驚きです。 焼結品質には多少不安がありますが、「家庭で金属AMができる」ことは心底すばらしいと思います。入門コースとして最適です。

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2021年7月12日月曜日

MIMバインダーを身近なものでざっくり理解する

 MIMバインダーに使われている代表的材料(PP、PE、POM、PMMA、EVA、PW、SA)を取り上げ、それらで作られている身近なものを紹介する。それから、ざっくりとその「用途」と『特性』を復習する。

「結合剤」PP(ポリプロピレン)PE(ポリエチレン):ペットボトルの蓋『成形しやすく柔らかいので栓に最適、MIM入門者向け、残渣がない』

「結合剤」POM(ポリアセタール):高級な定規『熱変形に強く強度があり定規に最適、MIM初心者(加熱)~上級者(触媒)向け、焼結変形が少ない、残渣がない』

「結合剤」PMMA(アクリル):水族館の水槽『熱変形に強く強度がありすばらしく透明、MIM初心者(加熱)向け、焼結変形が少ない、残渣がない』

「結合剤」EVA(エチレン酢酸ビニル共重合体):普通のホットメルト接着剤『中温で溶け接着能力が高い、初心者向け、低圧から高圧射出で重宝、加熱残渣少し有り、一次溶媒脱脂で溶ける』

「滑剤」PW(パラフィンワックス)、SA(ステアリン酸):キャンドル『室温で固い、低温で溶けてサラサラ。よくすべる。PWにSAを少し混ぜると強度が向上して型抜もよくなる、初心者~上級者だれでも入れたい基材、低圧から高圧射出で重宝。

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MIM指南書 金属粉末射出成形ガイドブック
『人間は失敗しないと学べない、体得したノウハウをすべて書きました。』
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2021年7月9日金曜日

脱脂不要で安価なBMPD式3Dプリンターとは

米国フロリダ州スチュアートを拠点とするMetallic3D社の3DプリンターM3D300である。BMPDとは「Bound Metal Paste Deposition」のことで意訳すると、「ペースト状のバインダーで混錬した金属粉末の押出積層方式」である。DeskTopMetalのBMD(TM)「Bound Metal Deposition」は、MIMフィードストックが基本であるが、このBMPDは「ペースト状」であるところが差別化技術だ。 右のメーカーHPに動画がある。   Metalic3D

《脱脂が不要の理屈》バインダーが溶媒で希釈されており、積層直後に溶媒が揮散していくためである。従って、脱脂不要とは1次脱脂が省略できることで、焼結炉内で行う2次脱脂は必要であると推察できる。主な仕様は次の通り・・・

寸法精度: ±0.5 MM  •最大部品ビルドサイズ: 280 X 280 X 325 MM  •一般的な層の厚さ: 2.5MMから0.2MMまで  •最大造形速度:1時間あたり1,000ML    •原料押出機アセンブリ: 1〜5リットルの容器  •通常の環境温度:湿度40%で210℃  •ノズル径: 0.4MMから5.0MMまで   •ノズル材料:ステンレス鋼、ニッケル被覆鋼  •印刷版:アクリルまたはカーボン(接着シートを推奨、IE ABS)  •電力要件: 100-240-VAC(5 Aピーク) •外形寸法(HXDXW): 610 X 584 X 559 MM  •重量: 16.3 KG    値段は$35,000 

【珈琲ブレイ句】積層する材料が「ペースト状で溶媒で希釈されている」ところは確かに独創的で新しいですね。でも取り越し苦労と思うのですが心配なところがいくつかあります。ひとつは、材料は密閉容器で管理する必要があること、密閉が甘く溶媒が揮散したら、焼結収縮率が小さくなるばかりか、粘度が高くなりノズル詰まりが発生し最悪の場合積層できないということにならないのか。ふたつめは、この揮発問題対策のため、材料は「コンテナ式」で供給されるようですが?もしそうなら材料コンテナ一式の値段が高い!!なんてことにならないか心配になります。しかし、細かい心配よりメリットの方が多いでしょう。外観は可愛く安価なので、ヒットするかもしれません。手軽にMIM-Like AMを体験できる、金属粉末AMの入門機として・・・・。

《日曜MIM知るINDEX》

MIM指南書 金属粉末射出成形ガイドブック
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ニッケル基合金 Nimonic90

 MIM指南書「金属粉末射出成形ガイドブック」6.2 材料別研究論文ダイジェスト P240-17 ニッケル基合金 のページに印刷して貼り付けてください。(画像をコピー→ワード等に貼付→印刷)


【珈琲ブレイ句】超合金Nimonic90には活性金属のTiやAlが入っていますが、黒鉛炉で脱脂焼結しています。モリブデン製の箱の中で焼結したものが品質も良く伸びもよいという報告です。粉末は水アトマイズで青森製です。

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2021年7月3日土曜日

粉体流動から観るPMからMIMそしてAM

PM(一般圧粉焼結)で使用する粉末の大きさは数100μmである。MIM用の微粉末(10μm)と比較すると10倍以上大きい*1。なぜ大きな粉末を使うのか、それは、微細粉末になるほど粉体の流動性が悪くなるからである。流動性が悪いと圧粉成形で金型形状が2.5次元でも正確に転写できない(成形体の肉厚に成形体密度が依存するため)。

しかし、MIMでは微細粉末で、精細な金型キャビティ形状を成形体に転写させることができる。なぜ可能なのか。その理由は「粉末に結合剤や滑剤を多量に混ぜている」からである。その結果、成形材料の流動性を格段に向上させることができるからである。

ここで、MIM-Like AMを観てみよう。

このMIMとほぼ同じ成形材料を使っているものはFFF,FDM方式である。 そして、粉末に液体を混ぜて同様に流動性を向上させているものは、LMM(リソグラフ)、スクリーン印刷である。 一方、粉体流動現象を直接受けるものは、粉体床(パウダーベッド)を使っている、溶媒ジェット、バインダージェット、Metal SLSである。


【珈琲ブレイ句】粉体流動(粉体粒径)の切り口でMIM-Like AMを観ると、微細部品向きがFFF、FDM*2、LMM等で、パウダーベッドを使っているものは、微細部品は苦手と感じる。スクリーン印刷はスクリーンの厚さに依存するので微細化に限界がある。一方、さらにミクロの世界、粉末を数ミクロン以下、サブミクロンにした場合は、それを実現できる技術はリソグラフのLMMがダントツではないかと感じる。とくに引き上げ式のLMMであればマイクロ部品や時間は掛かるが表面粗さ数μの部品が造れると思う。

*1:微細粉末を造粒して大きな粉末体(球状おにぎり)としてPM圧粉成形ができるものがあり、焼結密度もMIM相当にできる。 溶媒ジェットやMetal SLSでも造粒粉は使われている。

*2:微細粉末を使ったものは「μEP:Microextrusion Based 3D Printing」というジャンルで、原理は溶融押出でFDMと同じだが、今のところMIM-Like AMの分類から外している(私見)。

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2021年7月2日金曜日

MIM-Like AMの新しい技術の誕生と収束化

【珈琲ブレイ句】 ◆3DプリンターであるMIM-Like AMには、日々新しいアイデアが生まれ、各社しのぎを削って商品化している。いまや「ASTM F42の7分類」に収まらなくなり、自分で勝手に8分類にしたくらいだ。 これらのアイデアは実は「既存技術」の「組合せ」であることに気がつく。◆バインダージェット、溶媒ジェットであれば「粉体流動技術(粉体床、パウダーベッド)」「インクジェット印刷技術」など、FDM,FFFであれば「MIMフィードストック技術」である。◆共通するのは当然「3Dソフト技術(モデリング、STL化、レイヤー化)」「XYZ駆動メカトロ技術」などである。そして一番重要な共通技術は、「粉末(顆粒)製造技術」であり「MIMの脱脂・焼結技術」である。つまり、基本技術は新しくない。組み合わせた技術の良し悪し、性能の問題である。◆そして付け加えれば「MIMの脱脂・焼結技術は完成した技術」なのである。◆新しいアイデアは既存技術の組合せなので、そろそろ新しい技術は登場しなくなるであろう。そして、それらには長所短所があるのでQCDで評価されていくうちに淘汰されていき、やがて数種類に収束すると思われる。変化に強いものだけが生き残る、まさに進化の法則です。◆5、10年後収束され生き残る優秀なMIM-Like AM技術は何か? そして、次のドアを開けると、その先にあるものこそ「AMからようこそMIMへ」の広い世界がひろがっている。

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