2021年7月3日土曜日

粉体流動から観るPMからMIMそしてAM

PM(一般圧粉焼結)で使用する粉末の大きさは数100μmである。MIM用の微粉末(10μm)と比較すると10倍以上大きい*1。なぜ大きな粉末を使うのか、それは、微細粉末になるほど粉体の流動性が悪くなるからである。流動性が悪いと圧粉成形で金型形状が2.5次元でも正確に転写できない(成形体の肉厚に成形体密度が依存するため)。

しかし、MIMでは微細粉末で、精細な金型キャビティ形状を成形体に転写させることができる。なぜ可能なのか。その理由は「粉末に結合剤や滑剤を多量に混ぜている」からである。その結果、成形材料の流動性を格段に向上させることができるからである。

ここで、MIM-Like AMを観てみよう。

このMIMとほぼ同じ成形材料を使っているものはFFF,FDM方式である。 そして、粉末に液体を混ぜて同様に流動性を向上させているものは、LMM(リソグラフ)、スクリーン印刷である。 一方、粉体流動現象を直接受けるものは、粉体床(パウダーベッド)を使っている、溶媒ジェット、バインダージェット、Metal SLSである。


【珈琲ブレイ句】粉体流動(粉体粒径)の切り口でMIM-Like AMを観ると、微細部品向きがFFF、FDM*2、LMM等で、パウダーベッドを使っているものは、微細部品は苦手と感じる。スクリーン印刷はスクリーンの厚さに依存するので微細化に限界がある。一方、さらにミクロの世界、粉末を数ミクロン以下、サブミクロンにした場合は、それを実現できる技術はリソグラフのLMMがダントツではないかと感じる。とくに引き上げ式のLMMであればマイクロ部品や時間は掛かるが表面粗さ数μの部品が造れると思う。

*1:微細粉末を造粒して大きな粉末体(球状おにぎり)としてPM圧粉成形ができるものがあり、焼結密度もMIM相当にできる。 溶媒ジェットやMetal SLSでも造粒粉は使われている。

*2:微細粉末を使ったものは「μEP:Microextrusion Based 3D Printing」というジャンルで、原理は溶融押出でFDMと同じだが、今のところMIM-Like AMの分類から外している(私見)。

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