2021年1月13日水曜日

MIMの射出成形シミュレーションMoldex3D

MIMの射出成形シミュレーションとして実績のあるMoldex3Dの最新情報を加えて復習・掘り下げる(推測含む)。

《ソフト仕様》Moldex3-PIM解析ソリューション

《解析パラメータと条件》「せん断速度分布」と「粉末濃度」さらに「寸法変形」

《条件設定》射出温度、充填速度(時間)、金型温度等、さらに保圧の設定もできる。他に、材料の流動性データだけでなく熱伝導率、体積比熱、ゲート体積等を設定する(推測含む)。

《シミュレーションの合わせこみ》シミュレーション結果と実際の不良状態との合わせこみ。材料の流動性データ(せん断速度VS見掛け粘度)や熱伝導率の調整を行う、試行錯誤の世界がある(推測)。

《不良特性と解析結果》 特性:ブラックライン(Black-linepowder-binder phase separation)と呼んでいるが、解析結果を観ると「ヒケ、sink」のこと。このヒケの発生を「粉末濃度シミュレーション」で再現できる。粉末濃度が低いところが焼結するとヒケになる。

《金型方案の変更・最善化》ゲートの位置、ゲート寸法、スプール方案、製品の肉盗み等の変更を行う。


【珈琲ブレイ句】シミュレーションはプラスチック射出成形では一般的ですが、一昔前のMIM世界には、使えるものがありませんでした。粉末の添加量が多すぎてシミュレーションできなかったのです。しかし、5年ほど前からこのソフトは量産現場で使われ始め、立派に実用化されているのです、企業努力の賜物、素晴らしいことです。これで、金型方案設計の完成度を高くすること*1ができ無駄な金型修正を回避することができます。


*1 コンピュータの中で短時間にジャンジャン試作(シミュレーショ)を行い最適解(最善案)をもとめること。つまり経験ノウハウは必要です、AIは付いていません。


《日曜MIM知るINDEX》

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2021年1月10日日曜日

プラズマアトマイズを掘り下げる

 アトマイズとは粉末化すること。水アトマイズは水で、ガスアトマイズはガスでタンデッシュから線状に流れ落ちる溶融金属を粉末化する。プラズマアトマイズは、文字通りプラズマで溶解し粉末化する。

《装置の概要》材料は約Φ3mmの線材を使用する。ロール線材は真直化装置を介して、装置上面の予熱装置に通された後、線材ガイドノズル出口から約25mm先の、約30°で対向する3本のプラズマトーチの収束点に送られる。各プラズマトーチは出力30KWで毎分150リットルのアルゴン流量で作動している。プラズマの高熱とジェットの運動エネルギーで溶湯を分断し粉末化(13Kg/時間)する。(AP&C)

《特徴》ガスアトマイズと同様に、比較的冷却速度の遅いアルゴンガスを使っているので、分裂した微細滴は表面張力により球状になる。さらに、材料が細線なので供給量が少なく噴霧室内に浮遊する粉末密度が低くなり、粉末同士が衝突する確率が減少し、微細粉末凝集(サテライト付着)がない「高品位球形粉末」を製造できる。

【珈琲ブレイ句】すばらしい技術です。高品質な球状粉末製造装置としてはCFJA法とトップを並走していますね。ひとつ欠点を探せば線材を使うところでしょうか、線材を製造するのにコストが掛かるし生産性も高くないように感じます。しかし、あのGE*グループのAP&C社は、2017年カナダに工場を増設しています。そして年間750トンも生産しています。企業努力によりコスパがニーズに追いついたのでしょう。45μmアンダーの収率が60%になりAM目的がメインですが、MIMにも使える粉末をジャンジャン製造しているのです。ただし、材種はチタン合金がメインです。エリー材を使って高品質のチタン合金粉末も造れるので、品質保証はピカイチです。ハイスペックのチタン合金や超合金をやるなら線材は短所ではなく長所なんですね、恐るべし。

*GE-APATM(Advanced Plasma Atomization)

日本が発明したアトマイズ法「CFJA法」


《日曜MIM知るINDEX》

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2021年1月8日金曜日

MIMを試すためのAM周辺技術が拡充してきた

 『AMからようこそMIMへの時代』が始まり、そろそろ芽吹いてきた。MIM視点でAM-3D金属プリンターを観ると、次のような「ミニMIM事業化」とのコラボが考えられる。

【溶媒脱脂を採用するなら】AMは「Desktop Metal*1」「The Metal X」などのFFF(MEX)プリンター+溶媒脱脂装置+焼結炉 を使えば、溶媒脱脂用MIMフィードストックを購入(あるいは自作)してMIMを始められる。

【触媒脱脂を採用するなら】市販のBASFのフィラメント(Ultrafuse316L)でFFF積層し、XERION社のFusion Factoryで触媒脱脂+焼結を行う。あるいは、専用に準備された脱脂焼結受託サービスを使う。その後、MIM用のBASFフィードストックを購入してMIMを始められる。

AMからようこそMIMへ、両者をつなぐ架け橋が充実してきた。高品質高強度で再評価されているMIMを手に入れよう。

*1 ここでは溶融積層FFF(MEX)の装置を想定している。MIMフィードストックと同等のフィラメントを使っているもの。


【珈琲ブレイ句】XERIONのFusion Factoryについて、すこし掘り下げます。ドイツのメーカーで、同じドイツのBASF製AMフィラメントを使った積層から脱脂焼結まで自動行う安全なミニ工場?(装置)を開発しています。さらに脱脂&焼結炉装置を切り離した「COMPACT」は、触媒脱脂炉と焼結炉が一体化されている装置で、各炉内寸法は150×150×150mm、脱脂温度160℃、焼結最高温度1550℃(N2,H2,真空,大気)、電源は400V・32A。コンパクトでデザインもグッドです。残念ながら日本国内で販売されていない?ようです。($167,499)


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