2021年1月10日日曜日

プラズマアトマイズを掘り下げる

 アトマイズとは粉末化すること。水アトマイズは水で、ガスアトマイズはガスでタンデッシュから線状に流れ落ちる溶融金属を粉末化する。プラズマアトマイズは、文字通りプラズマで溶解し粉末化する。

《装置の概要》材料は約Φ3mmの線材を使用する。ロール線材は真直化装置を介して、装置上面の予熱装置に通された後、線材ガイドノズル出口から約25mm先の、約30°で対向する3本のプラズマトーチの収束点に送られる。各プラズマトーチは出力30KWで毎分150リットルのアルゴン流量で作動している。プラズマの高熱とジェットの運動エネルギーで溶湯を分断し粉末化(13Kg/時間)する。(AP&C)

《特徴》ガスアトマイズと同様に、比較的冷却速度の遅いアルゴンガスを使っているので、分裂した微細滴は表面張力により球状になる。さらに、材料が細線なので供給量が少なく噴霧室内に浮遊する粉末密度が低くなり、粉末同士が衝突する確率が減少し、微細粉末凝集(サテライト付着)がない「高品位球形粉末」を製造できる。

【珈琲ブレイ句】すばらしい技術です。高品質な球状粉末製造装置としてはCFJA法とトップを並走していますね。ひとつ欠点を探せば線材を使うところでしょうか、線材を製造するのにコストが掛かるし生産性も高くないように感じます。しかし、あのGE*グループのAP&C社は、2017年カナダに工場を増設しています。そして年間750トンも生産しています。企業努力によりコスパがニーズに追いついたのでしょう。45μmアンダーの収率が60%になりAM目的がメインですが、MIMにも使える粉末をジャンジャン製造しているのです。ただし、材種はチタン合金がメインです。エリー材を使って高品質のチタン合金粉末も造れるので、品質保証はピカイチです。ハイスペックのチタン合金や超合金をやるなら線材は短所ではなく長所なんですね、恐るべし。

*GE-APATM(Advanced Plasma Atomization)

日本が発明したアトマイズ法「CFJA法」

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