(近年中国で生産されているものはたぶんこの技術?)
商標名「iPowder」 コストパフォーマンスが高い。
《構造》タンデッシュ>フィルター>ガスアトマイズ>水アトマイズ
と直列に配置されている。
《原理》フィルターを通った溶湯が、ガスアトマイズ(5MPa)され比較的粗い液滴となり、完全凝固する前に、下の水アトマイズ(70~120MPa)の逆円錐・高圧水流壁に激突し微細粉末が形成される。
水アトマイズの水圧の調整で、2種類のタップ密度品を作っている。
《品質》たとえばiPowder316L(6) D50=6-7μm TD=4.6-4.7g/cc
iPowder316L(D) D50=8-9μm TD=4.5-4.6g/cc
酸素量=2000-3000ppm (普通の水アトマイズは4000-5000ppm)
客先要求により 500-800ppmにできる。
形状は球状であるためタップ密度(TD)が高い。
なぜ2種類のTDかというと、POM系はTDを高く、WAX系はTDが低いそうな。成形流動性の関係だと推察される。
《収率》50%~78.9%(水圧120MPa)
《感想》このハイブリッド装置の開発コンセプトは安価なMIM粉末を作ること。確かに、収率が78%あれば安価になる。すごいです。
一方、エプソンアトミックス社の最新水アトマイズ装置もかなり収率が高くなっているはずです(数値は分かりません)。原理はタンデッシュが特殊で円錐に溶湯を広げ、「水逆円錐の中腹」に溶湯を激突させるところが特徴だったと思います。なんとなくこのハイブリッドの微細化・高収率化が似ている。
《なぜハイブリッドにするのか考えた》
メリット:ガスだけで微細化、高収率化できないため。注記1)
水はガスと比較して「質量があり」「高圧・高速化でき」「熱容量が大きい」ため微細化できる。ただ欠点は水(H2O)を使っているので粉末が酸化される。でもある程度ガスアトマイズしておけば水アトマイズでの酸化を軽減できる。
デメリット:アトマイズ化するエネルギーコストがガスと水の両方掛かること。収率が高いので問題ない。のかもしれませんが・・・
注記1)SANDVIKのアトマイズ粉末には、D50=3.5μmの微細粉(SUS316L、14-4PH)がある。