2018年10月16日火曜日

MIMの接合について考える

複雑な部品で、金型で成形できない形状(アンダーカット)でも
MIMであれば形成することができる。
その方法は、「MIM部品の接合である」*1
2部品以上の脱脂体(成形体)を仮結合して
焼結することで「拡散接合」させる方法である。

この方法の量産品はほとんど「同じ材質」であるが
「違う材料で接合はできるのか」と聞かれたことがある。

答えは 「異種材料でも接合はできる」

1997年の三浦先生の論文(粉体および粉末冶金1997-44-5)で
カルボニルFeとSUS304Lの接合実験が報告されている。
ここでは次の課題を上げている。
◆二種類の金属の収縮速度が異なるため、接合面が完全に接合できない。

他にも考えられる課題をあげると・・・
◆二種類の最適な焼結温度が必ずしも一致しないであろう。
 片方が焼結不足になったり、オーバーヒートになったりする問題。
◆収縮速度の差だけでなく、そもそも収縮率を一致させる必要がある。
 これは焼結温度に依存するので上記とセットで研究する必要がある。

《まとめ》
MIMによる2部品以上の接合は、同一材質(準同一材質)の時に
量産可能。
他材質の場合は、収縮速度の差や収縮率を一致させる課題を
クリアできれば量産化できる。ただし、最適な焼結温度は材質により異なるので
片方は中途半端な密度になる。

*1 アンダーカットの形成方法にはもう一つ実用化技術がある。
それは 樹脂中子を使う方法である。