2026年5月28日木曜日

技術コンサルタントがネガティブに感じた事例②「塩化メチレン沸騰脱脂」

《前書き》

 技術コンサルタントとして現場を観察していると、ネガティブで深刻な問題に気づくことがあります。たとえば、「技術のブラックボックス化」や、「勘と経験」に依存した場当たり的な対応への回帰です。コンサルタントの役割は、こうしたリスクを可視化し、背景や原因を整理したうえで、改善策を提案することだと考えています。

 しかし実際には、提案が十分に受け入れられず、大きな改善につながらないケースも少なくありません。その背景には、現場側の「変化に対する不安」や、「外部からの指摘に対する抵抗感」があるように感じています。強く指摘すれば関係性を損なうので、現実には難しいバランスが求められます。


【珈琲ブレイ句】

技術コンサルタントがネガティブに感じた事例の2回目です。すでに改善・対策が完了していると思いますので、過去の事例として共有化しておきます。

《状況》溶媒脱脂として塩化メチレンを使用している。処理槽は上部が解放されており(処理槽には開閉蓋はあるが常時閉ではない)、天井から強制排気のフードが下がっている。ヒーターによる加熱温度は塩化メチレンの沸点(39℃)を超えているので、処理槽内の塩化メチレンはグツグツと沸騰対流している。

《技術的問題》①対流により小さい部品が移動し接触する。②ブラウン体の表面から金属粉末が脱落し処理層の底に粉末が体積している。③沸騰した塩化メチレンは処理槽上部の冷却区間で液化回収する構造であるが、処理層の開放面積が大きく100%回収できない。

対策案としては、処理時間より品質向上を優先させ、処理温度を下げ沸騰を抑える。

《環境・人体への毒性リスク》処理槽上部から蒸発した塩化メチレンは、強制排気フードにて外部へ排出される構造である。しかし、装置上面とフードまで1m程度の開放空間があるため気化した塩化メチレンがすべて排気されない可能性が高い(距離の二乗に反比例して排気能力は低下する)。本来、塩化メチレン(気体)は空気より重いので、排気は床からも行うべきである。

対策案としては、労働基準監督署や産業保健総合支援センターの専門機関に現状を相談し、早急なリスクアセスメントと設備投資を進める必要がある。

過去に、印刷工場や金属加工工場で塩化メチレンを用いた洗浄作業を行っていた作業員が、胆管がんを相次いで発症し、死亡する重大な労働災害が発生している。

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