2026年5月12日火曜日

あるL27直交表を使った実験の残念なところ

参考文献:Green density optimization of stainless steel powder via metal injection molding by Taguchi method  ,AM Amin1, MHI Ibrahim1, MY Hashim3, OMF Marwah2, MH Othman3, Muhammad Akmal 

 「田口メソッドによる金属射出成形を用いたステンレス鋼粉末のグリーン密度最適化(2017)」と題する研究論文を読んでみました。すばらしい実験なのですが、残念なことが2つあります。

ひとつは、L27直交表の交互作用列に因子が割り付けられているので交互作用と割り付け因子の効果が評価できないのです。

ふたつめは、特性値である成形体密度が望目特性として分析されています。個人的には成形体密度は理論値に近ければ良いと考えています。

そこで、特性値として成形体密度と理論値との差を望小特性として解析してみました。
理論値は不明なので、実験内の最大値に+0.004を加えた「5.13g/cm3」としました。
D2215







 単独の列として評価できるAとBだけ要因効果図を描きました。

A射出温度は第2水準と第3水準の間が良いと判断されます。温度をさらに上げても成形体密度の向上はわずかであることがわかります。むしろ熱劣化の可能性があるので温度を上げすぎない方がよいでしょう。

B射出圧力は、水準2が最適条件です。実験範囲内で射出圧力に上限(最適値)があるということは注目すべき結果です。

このAとBの結果は、元の論文とほぼ同じ傾向でした。

【珈琲ブレイ句】L27直交表には単独に3因子しか割り付けできません。各列の成分が示す交互作用を研究する直交表です。一方、タグチメソッド用のL18直交表であれば、18行の実験で8因子を割り付けることができます(2水準1因子+3水準7因子=8因子)。