2024年5月28日火曜日

失敗しない密度測定のコツ

【珈琲ブレイ句】粉末冶金の焼結密度を精度良く量るコツをまとめておきます。

◆測定方法◆ アルキメデス法が一般的に使われています。水中の浮力を利用する方法です。焼結体の重量(乾燥質量)と水中に入れたときの焼結体の重量(水中質量)を測定して、焼結体の密度を計算で出します。このとき、「水の密度(ほぼ1g/cc)」も計算式に加味します。正確な水の密度は水温を計り「蒸留水の比重表」から見つけます。
JIS Z 2501 焼結金属材料−密度,含油率及び 開放気孔率試験方法
JIS R 1634 ファインセラミックスの 焼結体密度・開気孔率の測定方法 

◆正確に量る4つのポイント◆
①焼結体に気泡が付着する問題:付着した小さな気泡の浮力により焼結密度が小さく計算される。対策:筆で焼結体表面の気泡を取ったり、焼結体をアルコールに漬けて表面の濡れ性を向上させてから水で洗浄して測定器の水中に吊るします。洗浄に超音波洗浄機が使えれば、さらにGood!。

②電子天秤の精度問題:数グラムの焼結体であれば電子天秤の精度は0.001gが欲しいところです。0.01gの電子天秤しかない場合は、測定する焼結体の数を増やして(測定重量を増やして)1個当たりの正確度を向上させます。

③水中に吊るす針金体積誤差問題:針金も浮力を受けるので誤差として作用します。対策:水面を上下微動する針金は可能な限り細いものを使いましょう。太い針金であれば、針金の微動量から針金の浮力誤差を計算して差し引きます。移動量と重量との線形式を事前に求めておきます。

④開気孔焼結体なのに密度高すぎる問題:仮焼結品などでは密度が逆に高く測定されることがあります。これは開気孔焼結体の中に水が浸入したためです。対策:開気孔内部にオイルを含侵させ水の侵入を防ぎ正確な体積を確保します。ゼリー状オイルの中に開気孔焼結体を入れて真空引きして含侵させたら取り出して表面のオイルをふき取ってから密度測定します。ゼリー状オイルは密度が1に近いものを選びます(シリコンオイルなど。パラフィンワックスを溶かして含侵する方法はオイル染み出しがなくベターです。)
閉気孔焼結体の測定には含侵は不要です★