固相焼結は4つの拡散と1つの塑性流動で行われる。4つの拡散とは、表面拡散、蒸発拡散、粒界拡散、体積拡散である。この5つの拡散流動の総量が緻密化のための総原子エネルギーである。このなかで一番緻密化に寄与するものは「粒界拡散」であり、寄与しないものが「表面拡散」である。緻密化に寄与しない表面拡散は低い焼結温度で支配的になる。もし、表面拡散にエネルギーを使い果たすと、緻密化が遅れて密度が低い焼結体になる。
『緻密化のための焼結昇温速度設計』とは次のステップで設計することである。①低温域では急速加熱を行い、表面拡散を押さえる ②中間温度で昇温速度をゆっくりに設定し、粒子成長が進みにくい間に緻密化を促進さる ③最後に焼結温度(MAX)では保持時間を短くし粒子成長を最小化させる。
【珈琲ブレイ句】これは昨日、ジャーマン先生の本「Injection Molding of Metals and Ceramics」を、改めてじっくり読みこむことで理解できた焼結テクニックなのです。衝撃的気づきです。現役時代の焼結プログラムは、約1000℃以降「焼結速度一定」にしていました。低温・中間域で昇温速度を変化させる発想がなかったのです。残念ながら、このジャーマン先生の教えを検証するチャンスを逃しました。誰か検証してみてはいかかでしょうか。ちなみに、17-4PHでの温度域の目安は、低温~1250℃、中間~1300℃、焼結温度1340℃くらいだと推察されます。