LCMとは、リソグラフィーベースのセラミック製造技術(Lithography-based Ceramic Manufacturing)のことである。ほぼ完璧と感じるところを列挙する。
・表面あらさがRa3μm未満、形状偏差0.1mm未満 ・ハイスペック市場のニーズに合致(医学、歯学、タービンブレード用セラミック中子)・それを実現させるセラミックペーストの商品化(アルミナ、ジルコニア、窒化ケイ素、生分解性β-リン酸三カルシウム、ヒドロキシアパタイト)・焼成密度コントロール(低密度~MAX99%)、高機械的性質の実現
《機構》スラリーバットの下からREDでレイヤーごとの形状を照射し、光重合で1層だけ硬化させる。プラットホームのガラス面に隙間を空けてRED照射をして1層だけ硬化させる。これを繰り返して3D形状を造形する。YouTube動画で分かるように、スラリー槽(バット)は回転し、邪魔板により粉末の沈殿を防止させている(スラリー密度の均一化)。
【珈琲ブレイク】セラミック粉末を使うのがLCM、金属粉末を使うのがLMMでした。LMMのブログは下記リンクで復習へ。セラミック粉末を使うLCMは、ほぼ完璧。でも金属粉末を使うLMMはそこまで評価できません。それは次のような技術の壁があるだろうなと推察しているからです。それは粒径の差、密度の差、焼結技術の差による課題です。スラリー品質の均一性を考えると粉末は微細で密度が小さい方が有利です。セラミック粉末はサブミクロン、アルミナは鉄の約半分の密度なのでスラリー品質管理はセラミック粉末利用の方が金属粉末より有利なのです。焼結もアルミナであれば酸化を気にせず大気炉で脱脂と焼結ができます。このように金属粉末を利用するLMMには乗り越えなければいけない課題があるのです。でも「LMMは凄い第三の柱」であることに変わりはありません。
こちらのINCUSのLMM装置は上記LCMの引上式プラットホームではなく、パウダーベッド方式の様に1レイヤー積層したら下へ下がっていきます。そしてスラリーをヘラで1層分だけ重ね塗りをしていきます。さらに、この装置が秀逸なのは「スラリーは事前に均一混合し固体化してセットしている」ところです。積層の都度1層分だけ溶かしてスラリー化していると推察できるところです。こうすれば積層中のスラリー攪拌の必要は無くなります。そして下へ動かすプラットホーム方式は密度の大きな金属粉末を利用するための必然なのかもしれません。完璧のために残る課題は、LCMと同等の表面あらさの実現です。がんばれLMM。