金属粉末のAM(付加製造)は、直接溶融積層と粉末冶金積層がある。微粉末(MIM用粉末)が使えるのが後者で、その内訳は、フィラメント溶融積層とバインダージェット積層である。ここに近年第三の柱が加わった。これがもの凄く画期的な技術である。近い将来この技術が主流になる予感がする。
その技術は「LMM:Lithography based metal manufacturing」である。
《工程》
1 積層:溶融フィードストックをヘラで50μ敷いて、その上面に輪切りにした設計データ形状を「露光する」。輪切り形状写真印刷(光硬化)しながら積層造形を繰り返す。積層体は「Print Block」と呼ばれる。
2 グリーンパーツ取出し:加熱して未照射のフィードストックを溶かす。フィードストック=金属粉末+フォトポリマー。100%再生材として使える。
3 グリーンパーツ洗浄:超音波洗浄
4 脱脂焼結:MIMと同じ脱脂焼結炉が使える。
《凄いと感じたところ》
・今は50μの層であるが、技術的には数ミクロンは可能であろう。
・リソグラフィーであるので将来はナノの世界になる。写真印刷。
・粉末が飛散することがない。再生100%は魅力。
《予想されるハードル》
・バインダーはフォトポリマーであるが、1種類だとすると脱バインダー工程で破裂する可能性が高い。熱分解温度領域の異なる数種類で設計されていれば脱帽*1。
・50μ層の一番下に光は当たるのか。屈折していくのか?
・フォトポリマーって何?紫外線硬化樹脂?残渣があると炭化する。
・金属粉末とポリマーの濡れ性に疑問? 密度が斑にならないようにしてね。
・CSLはどのくらいでしょうか?バインダーがジャブジャブだと精度が出ない。
《とにかく感動するIncusの動画》
YouTube グリーンパーツ取出し ドライヤー?の影が観えるような・・・
チョコレートからアーモンドやカシュナッツを溶かしだす感じ。
YouTube 露光積層 シルクスクリーンの様にフィードストックを1層伸ばして露光する。この方式だとバインダージェット方式のノズルの目づまりという概念が無い。
【珈琲ブレイ句】*1 光硬化性樹脂を調べてみると4種類で構成されているそうだ。4種とは、モノマー、オリゴマー、光重合開始剤、各種添加剤(安定剤、フィラー、顔料)であり、アクリル系とポリエステル系が主流のようだ。光硬化すると重合架橋反応し硬化するので、硬化後は一つのポリマーと考えればいいのか? 熱分解曲線を調べてみると多段にはなっていないので、加熱脱脂が難しそうだ。