2021年4月3日土曜日

MIM粉末利用3Dプリンターの伏兵『Metal SLS』とは

Metal SLSとは、 プラスチック粉末をレーザーで溶融(焼結)させて積層する「SLS」方式の装置を使って、コーテッド金属粉末*1を積層し、MIM同様の脱脂と焼結を行うAMの新技術である。溶かすのはバインダーのみ、金属は溶かさないのでCold Metal Fusionと命名されている。 

《工程》粉末ベッドから取り出された積層体(グリーン体)は、高圧エアーブローでクリーニングされる。この積層体の強度は高く(金属は溶けていないバインダーだけの強度)、精度が必要な部位を二次加工(ブランク加工)することができる。以降はMIMの工程と同様に、溶媒脱脂、加熱脱脂真空焼結が行われる。  

《技術》ドイツのHeadmade Materials GmbHの特許。一次脱脂と二次脱脂を行うので少なくとも2種類の樹脂・WAX(あるいはそのポリマーアロイ)を粉末にコーティングしている*1と推察する。脱WAXに溶媒脱脂を使い、脱脂性能だけでなく溶媒は蒸留再利用するので、安価で最善な方法であるとしている。SUS316Lの場合の収縮率は13%である。 

*1 コーティングした粉末ではなくバインダー微細粉末と金属粉末の完全均一混合粉体の可能性はある。 

 

【珈琲ブレイ句】目から鱗。すばらしい技術です。バインダージェットではなく、レーザーを使って積層する。それも金属粉末を溶かすのではなくバインダーだけを溶かして積層する。SLSの特許が切れたと思ったらMIM技術をくっ付けて特許化するとは盲点でした。すでにチタン合金製の自転車ペダルを量産しているそうです。情報が少ないので、パウダーベット内の嵩密度やグリーン体密度および焼結密度がどのくらいになっているのか興味があるところです。収縮率13%ということは、高精度MIMの収縮率と同じレベルですね。チタン合金で量産化しているので技術の成熟度はすでに高い! これで私が把握しているMIM粉末利用の3Dプリンターは4種類になりました。早速、分類表を下記に改定しました。  


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