2021年4月13日火曜日

低圧粉末射出成形LPIMとは、その将来性

 低圧粉末射出成形LPIMとは、Low Pressure Powder Injection Mouldingの事である。通常のMIMは、高圧(High Pressure) 射出のHPIMに分類される。そのほとんどはMIMと同じであるが特徴的なMIMとの違いを列挙する。

◆成形圧力は0.11MPa(MIMは50200MPa)◆バインダーの構成は、基剤, 界面活性剤、 増粘剤からなり、MIMで使われている結合剤ポリマーがない◆したがって、脱脂はMIMの1次脱ワックスと2次脱バインダー(ポリマー)ではなく、ウイッキング法による1工程脱脂のみである。

《長所》流動性が高いため微細で複雑な形状が可能。安価な射出成形機が使える。安価な金型が使える。小ロット試作が始めやすい。肉厚10mmの大型部品が可能。《短所》脱脂に時間が掛かる(数十時間)。


【珈琲ブレイ句】この低圧粉末成形LPIMは、MIMの入門技術として最適です。難しいところは、拮抗する流動性と分離性をバランスさせる増粘剤配合最適化と加熱脱脂温度VS酸化および還元の研究ぐらいです。バインダーに結合剤を入れないので脱脂変形が心配ですが、脱脂はセラミック粉末の中に入れ毛細現象でバインダーを吸い出す方式(ウイッキング)なので、形状は保持されており変形が少ないことは容易に推察できます。焼結は脱脂体をセラミック粉末から取り出して、真空焼結炉で還元・焼結を行います。「AMからようこそMIMへ」の流れは「AMからようこそLPIMへ、そしてMIMへ」と迂回路を経由させれば大流行しそうです。というのは、LPIM用の金型ならPA樹脂型でも良いのでAMで3Dプリントした金型が使えるからです。優秀な開発者ほどトライしたくなる道程です。

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