2024年7月10日水曜日

金属3Dプリンターを活用するJAXA

本BLOGの守備範囲ではないが、レーザー照射で粉末を焼結造形するDED(金属3Dプリンター)を掘下げる。そして、MIMと比較してMIMの優位性を考える。

『DEDの製造工程(一例)』①トポロジー形状最適化設計(計量化、ラティス構造、水流配管設計、一体化) ②積層造形形状修正設計(シミュレーションによる変形予測、サポート付加、肉厚およびL/Dの修正、機械加工クランプ部確保) ③金属3D造形(DED) ④サポート除去加工 ⑤熱処理(応力除去、時効処理、窒化処理) ⑥表面処理(ショットブラスト・表面あらさ改善、ショットピーニング・表面あらさ改善&硬化) ⑦機械加工(エンドミル加工、放電加工、流体研磨) ⑧検査(同時造形試験片の強度試験、カラーチェック、X線CTスキャン)

 【珈琲ブレイ句】JAXAがDEDを使って製造した月面探査機SLIMの脚は「ラティス構造体」で高強度&最軽量ですが、これはMIMでの製造は困難です。軽く作るだけならば「ポーラスMIM」もありますが、大きさにも限界があるので採用されないでしょう。高機能金型の水冷配管も小さな金型であれば樹脂中子を使えば技術的には可能ですが、金型費用が掛かるのでランニングコストが高くり、一点物の金型には採用されないでしょう。

しかし、MIMも当然優れています。MIMがDEDより優れていること5選。①造形後に残留応力や表面性状劣化が無い。②造形物の内部品質が良い(ちゃんと成形すれば)。③サポート切断が不要(MIMアシスト変形駒法*1)。④使える材質が多い。⑤表面あらさがRa1.5~2μm(Rmax6~8)と良い。

『まとめ』やっぱり量産の3D形状部品はMIMに任せてください。トポロジー最適化設計の航空宇宙部品や高性能金型用の水冷配管はDEDに一任させていただきます。

JAXA:金属積層造形を用いたラティス構造の機械特性の取得

*1 MIMアシスト変形駒法、MIM指南書 P30 図2.14

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