【珈琲ブレイク】「焼結密度100%のMIM焼結体はつくれるか」で取り上げたように、不完全緻密化の要因のひとつがCOガスの残留でした。でもガスはCOだけじゃなくてCO2の可能性もあるのではないかと思い、実際に量産品*1を測定しみました。結果は「CO反応として計算した値」とほぼ一致します。計算とは、「ミルシートのCとO」と「焼結体のCとO」の関係からCOガスとして抜けた量を確認するもので、CとOの1モル反応なのでΔOを分子量比1.33で割ってCから引き算*2します。ただし、この結果は完璧に溶媒脱脂と二次脱脂を行っているとき*1(脱脂不足による残留炭素の増加が無いとき)の話です。
*1 溶媒脱脂→N2脱バインダー→真空中還元反応→Ar圧力制御中の焼結
*2 MIM指南書 粉末射出成形ガイドブック P65
《参考》BASFのCIP-CC粉末を水素雰囲気で焼結したときに発生するガスに関する論文がありましたので、その結論だけメモっておきます。水素雰囲気なので還元ガスにH2Oやメタンが登場しています。高温域の還元反応はCOでありCO2は登場していません。
「温度域:生成ガス:反応」の順番です。「200-300℃:CO2:吸着ガス離脱」、「250-520℃:H2O、炭化水素:バインダー分解・還元」、「420-700℃:CH4:メタン化」、「910-1200℃:H2O、CO:還元反応」