MIMフィードストックにおいて二軸スクリュー押出機による造粒を繰り返した時の粘度に関するデータを共有化します。
《結論》①混錬造粒は、3回繰り返した時が粘度が最小化し、そのバラツキ(標準偏差)も最小化(品質最大化)する。 ②しかし、4回めには、粘度および標準偏差が悪化する。この原因はバインダー成分の劣化によるものと考えられる。(私見:高分子は低分子化するので粘度は低下方向だが、レオロジー改善目的のPWが蒸発により減少するため粘度上昇する。PWの粘度上昇効果が相対的に大きい。)
MIMフィードストック:粉末4605(TD=4.2、D50=3.92)、CSL=58vol%(粉末量=CSL-2=56vol%)、PW,PP,PE,SA系 混錬造粒機:二軸スクリュー押出機(145~160℃、30rpm) 粘度測定機:トルクレオメーター
【珈琲ブレイ句】混錬(バインダーの混合、粉末の凝集の分解、粉末とバインダーの濡れの均一化)を徹底的に行えばMIMフィードストックの品質が安定することを示唆しています。しかし、バインダーの劣化があり限界があることがわかります。このデータを量産へ、どのように展開すれば良いでしょうか? 素直に、二軸スクリュー押出機で3回造粒する。混錬時間条件を上げる。混錬時間を伸ばす。いずれにしてもMIMフィードストックの製造にコストを掛けた方が最終的なMIM品質は向上するというQCD方針で4Mを設計した方がよさそうです。実は射出成形機は混錬機能があるので再生材は2回目の材料に相当する可能性があります。ですから、再生材の配合比率の設計も同時に考える必要があります。
参考文献:”Rheological and Thermal Characterization of AISI 4605 Low‑Alloy Steel Feedstock for Metal Injection Molding Process”、Ali Askari他、Metals and Materials International (2019)