都立大学の研究が面白いのでメモしておく。「金属BJT積層体の高密度化に向けたスラリーコーティング技術の適用(刈谷香槻、長田 / 小林研究室)」
《課題》金属BJTでSKD61の密度を高めるため、焼結の温度を高く時間を長くすると結晶粒が大きくなる課題があった。
《対策》BJT積層体をコーティングし低温焼結後にHIP処理を行い結晶粒の成長を押さえながら高密度化させる。
コーティングスラリー:SKD61のMIM粉末80mass%+PVB樹脂等
コーティング:2回、厚さ約600μm
低温焼結:1200℃×2H
HIP:1100℃、100MPa×3H
《結果》焼結密度約7.0g/cm3、結晶粒約50μm
【珈琲ブレイ句】BJT積層体は残念ながら開気孔が残る構造なのでHIPを掛けても完全にその効果を得られません。でも表面に開気孔を塞ぐコーティングをすれば等方向加圧の効果が得られます。これを利用して低温焼結で作った微細結晶粒をそのままに、次に低温HIPに掛けて密度だけを上げるという作戦ですね。そして、なるほどと思ったのは、普通なら仮焼結品にコーティングを考えますが、これは積層体へコーティングしているので、コーティング材も仮焼結され、表面に薄い金属膜が形成されるのでHIP処理の効果が得られるのです。つまり「なんちゃってメッキ」でもあるのです。異材種のコーティングもおもしろそう。