2025年10月15日水曜日

バインダー量と伸び尺の相関関係推定表

 バインダー量(Vol%)と伸び尺(拡大率、OSF)の相関関係の推定表を載せておきます。【取扱注意】あくまでも推定表であり正確ではありません。


【珈琲ブレイ句】最近、Metal-MEXの研究事例が多く発表され始めました。個人用に、バインダー量を把握するために作った推定表です。相対密度96%の列がMetal-MEX用です。【取扱注意】あくまでも推定表であり正確ではありません。

2025年10月12日日曜日

溶融固体の金属粉末に対する濡れ性評価

溶融状態の固体(樹脂類)の金属粉末に対する濡れ性の相対比較を一覧表にまとめておきます。(注:温度、雰囲気環境によって前後する可能性があります。)

金属粉末(固体側)の条件(γc​)が同じである場合、溶融樹脂(液体側)の表面張力 (γL​) が小さい方が、濡れ性が良いと判断しています。

【珈琲ブレイ句】ワックス系ではステアリン酸SAが極めて金属粉末との濡れ性が高く、ポリマー系ではポリプロピレンPPが高くなっています。これは混錬実験での体感と一致していて「その通り」と納得できるものです。

また、先に金属粉末をSAでコーティングさせると後の混錬が楽になる等の改善は、この「極めて高い濡れ性」のお陰ですね。さらに粉末との「浸透性」という動的側面も関係しているな!と思われます。

さらに、元祖パーマテックバインダー組成設計*1は濡れ性も考慮されていると改めて感心しています。一朝一夕にMIMバインダーは開発されていないということですね。

*1 MIM指南書 P57 表3.3 事例1

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2025年10月11日土曜日

微粒子添加による流動性向上

 316Lステンレス鋼に3wt%のTiC粉末を添加した粉末射出成形フィードストックのレオロジー挙動を、キャピラリーレオメーターを用いて研究した結果。

TiC粒子の微量添加はPIM原料の粘度を低下させる。この効果は固体体積分率の高い系でより顕著である。さらに、流動活性化エネルギーはTiC粒子の添加により低下し、特に高せん断速度において顕著である。

316L:ガスアトマイズ粉末、12.6μm(d50)Osprey  

TiC:4μm(d50)Aldrich 

バインダー:PW53vol%、EVA30vol%、カルナバWAX15vol%、SA2vol%

文献:Investigation of rheological behaviour of 316L stainless steel–3 wt-%TiC powder injection moulding feedstock, M. Khakbiz, A. Simchi and R. Bagheri

【珈琲ブレイ句】TiC微細粉末が、大きなステンレス粉末の間に入り込み「コロ」の働きをするので流動性が改善されると思われます。この応用でTiCの代わりに固体潤滑剤であるメラミンシアヌレートを使っても流動性を向上させることができる可能性を示唆しています。また、メラミンシアヌレートは加熱脱脂中にすべて昇華消失するので焼結体金属成分に残存することはありません。

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