なぜ難しいのか、理由は3つ。①MIM成形材料(フィードストック、コンパウンド)の密度が大きい(およそ5g/cm3)ため、重力の影響を無視できない。②金属粉末が多量に含まれているため流動性が悪く、熱伝導率が高いのですぐに固化する。③多数個取りにすることはスプール・ランナが長くなることである。この長い流動区間で上記①と②の影響を受け、やっとキャビティのゲートに到達した時点では、成形材料の温度・流動性が低下し成形バラツキが発生する、保圧も効かない。
これだけではない、ほかにも残念なことがある。それは、スプール・ランナが長くなることで相対的に再生材の量が多くなる。すべて再利用すれば品質が劣化するし、再生材比率を低くして品質を優先すれば、どんどん再生材が溜まる恐れがある。
【珈琲ブレイ句】
ひまわりのように中心からランナが広がるMIMの多数個取金型を観たことがある。すばらしい技術力であると賞賛した、でも担当者は困った顔でつぶやいた「数個のキャビティは殺しているんです」。ですよね・・変な安心感。 逆にこんな強者に会ったことがある、彼曰く「キャビティは、原則1個取りです」。