2020年12月22日火曜日

MIM製ハイスの焼結機能窓を拡げる添加物

 ハイス(高速度鋼SKH51M2)をMIMで製作するのは、かなり難しい。焼結スランプ,溶け,デンドライトの発生,結晶粒肥大化,網目状炭化物など克服すべき課題が多いからである。必ず必要なことは一次脱脂および二次脱脂を確実に行い、還元も考慮したカーボンコントロールを行う事である。さらに、材料設計段階で解決する手段がある。それは,炭化物(WCTiCTaCNbC)をフィードストックに添加することである。結果、焼結機能窓が最大40ºC拡大し、結晶粒の成長を抑制することができる。Powder Injection Moulding International June 2010  Vol. 4 No. 2 P6

 

【珈琲ブレイ句】MIMは粉末冶金なのでどんな合金でも製造できる。これがMIM材料開発の強みです。いろんな炭化物を添加したハイスを独自で作れば世の中の役に立つということです。たとえば高硬度の炭化物を添加すれば耐摩耗性向上も期待できるはずです。話が変わりますが、コバルト合金の精密鋳造で、似たような目的で組織微細化材を使っていました。この微細化材はコバルトブルーという粉末で、油絵の具に使われているものです。この粉末を種にして結晶が成長していきます。細かい結晶が成長したところで凝固を終了させれば微細組織の完成です。粉末は面白いですね。

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