2020年12月18日金曜日

MIMは脱脂工程でも収縮している

MIMの収縮は、焼結工程だけでなく脱脂工程でも発生している。非接触レーザー測定で精密に測定したジャーマン先生の実検報告がある。

【材質】SUS316L,15μm,30×12×t6mm 【バインダー/配合】60%-PW,32%-PP,8%-PE,40VOL% 【一次脱脂】溶媒,ヘプタン,55℃×4H 【二次脱脂】大気加熱

【寸法変化】

溶媒脱脂中:+1%程度膨張し、時間的変動は無い

加熱脱脂中:+0.2%膨張(80℃)した後、100℃から急激に収縮が始まり約150℃で最大収縮-1.5%。その後は、多少熱膨張で相殺されていくがバーンアウト450℃時点で、最終-1%の収縮がある。

【なぜ加熱脱脂中に収縮するのか】3つの理由

1.液化結合剤(ポリマー)の表面張力による合体 2.および毛細管現象による粉末粒子の再配列 3.結合剤の熱分解揮散による体積減少 


【珈琲ブレイ句】MIMの収縮率は13~15%と大きく、そのすべてが焼結工程で発生していると考えがちですが、二次加熱脱脂でも1.5%程度収縮している。その原因は、粉末粒子の再配列ということです。なるほど結合剤と言えども、ポリマーは軟化・溶融し液化するので、毛細管現象や液体表面張力などに影響を受けるということです。ジャーマン先生の教えでは、MIM部品の設計は「均一な肉厚設計」をすること、「加熱脱脂の最終温度近傍では昇温速度を落とすこと」とあり、100%納得できますが、さらに私見として付け加えると、やはりバインダー量を最小化(粒子間距離の最小化)することが粒子の再配列現象を極小化するので変形には有利であることが推察されます。また、蛇足ですが、樹脂中子を二重成形したアンダーカット形成品であると、樹脂中子の熱膨張と、MIM成形体の収縮が逆方向に作用するので割れの発生が考えられます。加熱前に完全に樹脂中子は除去した方がベターだという考察もできます。

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