AMで樹脂金型をつくり、その金型で試作成形するMIMのデモ(Castem社)を展示会でみたことがある。一方、今回掘り下げる『addifab社』が提案す方法は、使い捨て樹脂型(犠牲型)を使うフリーフォーム射出成形システムである。CAD・STL出力から24時間で成形体(製品)を作ることができる(MIMであれば後工程の脱脂焼結が追加される)。工程は、①使い捨て樹脂型を3Dプリンター(UV硬化アクリル樹脂)で造形する。②洗浄して未硬化樹脂を取り除く(アルコール洗浄)。③仕上げ硬化UV照射3分間。④使い捨て樹脂型を本型にセットして射出成形。④使い捨て樹脂型のみをアルカリ溶剤35℃で溶かす。⑤以降MIM工程(脱脂・焼結)
《3Dプリンター造形精度》XY解像度:10~50μm、Z層:10~200μm
《MIM/CIM実績》:Good良好:POM系バインダー(BASF系、3STD?)、Fairまあまあ:PEG系バインダー、Poorダメ:PA-WAX系バインダー
【珈琲ブレイ句】MEXとMIMの相性は抜群ですが、玉に疵なのはMEXの表面粗度が良くないことです。でも、上記の方法であれば、キャビティ型となる樹脂型の積層解像度やピッチを10μmオーダーで造形できるので表面粗度の課題をクリアーできます(光造形なので造形時間は短く1層約18秒とすると、部品10mm厚さを最小10μm層で積層する時間は5時間と計算できます。)さらに、金型では形成できない複雑な3D形状をMIMで製作することができます。昔諦めたあの部品をこの方法を使えば実現できたのにな~と空想しているのです。あの部品とは航空機の燃料関係に使う超複雑な部品です。
使う前に確認は必要です。それは、樹脂型を溶かすのにアルカリ溶媒を使っているため、すべてのMIMバインダーに対応できないことです。また、アルカリに弱いチタン合金は、バインダーに関係なくNGかもしれませんね。でもすばらしい技術です、試作や生産数の少ない超複雑部品には展開されていくと思われます。