2022年1月13日木曜日

FFF用のフィラメントを自作し失敗した話

 MIM-Like AM(MEX)のFFF用フィラメントを自作したときの失敗談とその推定原因をお話します。2019年にMIM材料を使って線香の様なフィラメントを金型で造り、県の技術センターのFFF装置を借りて積層実験をしたことがあります。結果は失敗でした。課題は3つ。1つ目、ノズルから出た材料がすぐに固化して積層できない。2つ目、フィラメント送り機構(ギヤ)でフィラメントが削られる。3つ目、フィラメントを巻線にできない。線香形状で実験を行ったが、靭性(弾力性)がなく折れやすい。同時期に県へ申請した研究予算が取れずこの企画は不本意ながら消滅しました。

《失敗の学び》積層する空間環境の温度管理(固化を遅らせる温度)が必要であること。フィラメントの送り機構の改善が必要であること。フィラメントを巻線で供給するためには、WAX類を減らし中粘度・中分子化合物を多く配合させるバインダー配合設計が必要であること。

【珈琲ブレイ句】それにしてもBASF社のFFF用フィラメントは、高分子の硬いPOMが主体であるにもかかわらず、巻き線フィラメントなので凄い技術力だと感心しています。先行して発表されたMetal Xも巻線フィラメントです。一方、Desktop MetalのFFFの材料は鉛筆状のフィラメントなので弾力性が低くても大丈夫です。さらにSlabのペレットを使うFPFであれば、MIM材料そのものを積層することができます。要するに、材料に合わせて機械を作るのか、機械に合わせて材料を作るのかの勝負です。でも、どの方法も長所短所があり甲乙つけがたいのです。

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