2023年11月22日水曜日

MIM製Ni基超合金の実力をチェックする

 Ni基超合金のMIM(INCO713+α)のクリープ破断特性を精密鋳造の世界と比較する。

  SC:単結晶  DS:一方向凝固  CC:普通鋳造

参考文献:①ロストワックス精密鋳造法(産業図書)P149、 ②MIM: アテクト特開2020-56106【表1】

【珈琲ブレイ句】MIM製Ni基超合金が実用化され始めました。どのくらいの実力なのか? その実用化されたMIMのクリープ破断特性データをロストワックスの世界に重ねてみました。結果は、まだまだ頑張ってほしいレベルであることがわかりました。

DCやSCはジェットエンジン用なのでMIMが活躍することはありません。CCは精密鋳造(LW:ロストワックス、真空鋳造LW)のことですがMIMが戦うべき土俵になります。でもなぜ、MIMのクリープ破断特性はこんなに低いのでしょうか? それは、「結晶組織の大きさの問題」だと推察されます。結晶粒は大きい方がクリープ強度が高くなりますが、MIMは粉末冶金なので製法的に元々結晶粒を大きくしづらいのです。鋳造は冷却凝固の制御で結晶粒を大きくできるし、なんといっても究極はSCの単結晶になるのです。

MIMは粉末冶金であるという製法的特徴を知り、いかにCCと戦うかを考える必要がありそうです。MIMの長所はニアネットシェイプ形状、中空化、マイクロ化ですね。

*MIMはHIPが前提です。密度は99.97%に達し、引張強度はCC(ロストワックス)に肉薄してきます。カーボンの少ないINCO713LCの方が若干引張強度に有利で、残留炭素などに影響する脱脂工程の最適化が重要になるようです。

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