2024年12月28日土曜日

酸化脱脂について掘り下げる

 酸化脱脂を使った素晴らしい事例を掘り下げる。

◆グリーン体:MEX積層体(エスラボ)◆SUS316Lフィードストック(第一セラモ)◆真空脱脂焼結:VHS-CUBE(島津産機システムズ)◆酸化脱脂:一次脱脂で乾燥空気を導入し加熱脱脂とともに粉末を酸化させる。さらに連続して還元と焼結を行う。◆結果:焼結密度98.9%(7.6)、引張強度532MPa、伸び58.5%、硬度HV174、炭素0.001%

引用文献:“材料押出MEX技術の最近の動向と展望”、粉体および粉体粉末冶金 第71巻第12号639、山田、武田、江、河本、和田、加藤、京極

【珈琲ブレイ句】酸化脱脂をうまくコントロールしているので感激です。そのポイントは4つ。①乾燥空気を真空脱脂焼結炉に導入する。②乾燥空気導入温度を管理することで適切な粉末酸化量を作る。③その温度は黒鉛部品との反応温度未満に温度インターロックをかける。④還元を理論通りに反応させる。 炭素炉に空気を導入させる発想がなかったので勉強になりました。個人的に確認したところ酸素量も0.003%レベルで管理されており流石です。

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2024年12月13日金曜日

PEとPOMのポリブレンドに関する研究から学ぶ

PEとPOMのポリブレンドにおける配合比研究で、特性値が非線形になっている面白い結果がいくつかあったのでメモしておく。

POMにPEを30~50%混合混錬したポリブレンド成形体の粘性係数と結晶化度は凹曲線の関係でPE50%近傍でで最小値を示す。また、収縮率は凹曲線の関係でPE50%で最小値を示す。

衝撃強度はふた山の複雑な曲線をを示しPE30%でPOM100%より高くなる。伸びは凹曲線の関係でPE30%~PE70%の範囲で最小値を示す。

  参考:”PE(ポリエチレンPOM(ポリアセターのポリブレンドに関する研究” 工学院大学山口章三郎佐藤伸司、310,P144-146 


【珈琲ブレイ句】 

MIMバインダーに採用するなら、POMにPEを30%程度ブレンドすると堅物のPOMが扱い安くなる可能性があることを学べます。粘性係数が下がるので成形がしやすく、収縮率が小さくなれば成形寸法ばらつきが小さくなり、衝撃に強くなるのでグリーン体の欠損不良を低減できそうです。すでにPOM系バインダーには採用されていると推察しますがどうでしょうか?

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