【珈琲ブレイ句】このBLOGでは、多くの品質工学(タグチメソッド)を使ったMIMのパラメータ設計の事例を紹介しています。タグチメソッドとして紹介していますが、実は純粋な品質工学ではなくて従来の数理統計学を使った実験計画法の事例が多く含まれています。この傾向は特に海外の論文に多く散見されます。なぜそうなのか考えると、その理由は田口玄一先生の業績が偉大すぎたからだと思っています。
品質工学は、「タグチメソッド」とも呼ばれています。タグチメソッドは田口玄一先生が独自に開発した革新的かつ独創的な工学です。一方、数理統計学者の必読書でバイブルの「実験計画法上・下 丸善」の著者も田口玄一先生なのです。どちらも田口玄一先生の業績なのです。というわけで海外で「タグチメソッド」が名前から作られているので、品質工学と実験計画法の区別があいまいになっていると思われます。どちらもたいへん素晴らしいのですが、目的・手法が異なるのです。この2つは何が違うのかをまとめておきます。
従来の実験計画法では左図のAを最適解としますが 品質工学では、Bが最適解と考えます。品質工学では、市場に潜む外乱誤差・環境誤差の下でシステムの出力品質が安定する設計を追求するためです、つまりロバスト性(頑健性)の高い設計品質を求めるのです。出力の最大値はAですが、AとBの入力のバラツキを考えると、出力のバラツキはBの方が少ないことを読み取ってください。ベストではなくベターを選んで誤差に対する頑健性を追求しています。