2024年10月8日火曜日

品質工学パラメータ設計事例6 Co-30Cr-6MoマイクロMIM

 マレーシア・ペルリス大学のタグチメソッドの論文(2014)を記録する。

《実験計画》粉末:Co-30Cr-6Mo(20μm、TD=5.20g/cm3、CPVP=67Vol%)、バインダー:PS+PE系、バインダー量は不明(33+α Vol%)金型:マイクロダンベル(全長9mm、ダンベル径Φ2.6mm、厚さ0.8mm、ゲート厚さ0.32mm)、直交表:L18、特性値:グリーン体密度の望目特性、制御因子:A射出温度(160,170,180℃)、B射出圧(9,10,11bar)、C金型温度(100,110,120℃)、D射出時間(6,7,8s)、E保圧時間(6,7,8s)

《結果》寄与率の高い順。射出温度は一番高い第3水準の180℃、射出圧は第2、3水準の10~11bar、金型温度一番温度の低い第1水準の100℃。確認実験で推定値内にはいることを確認した。密度=5.222~5.450g/cm3

参考論文:Azizah Wahia, Norhamidi Muhamada, Hafizawati Zakariab ”Optimization of 67% Powder Loading Co-30Cr-6Mo µMIM Part by Taguchi Method ” Department of Mechanical and Materials Engineering, Faculty of Engineering and Built Environment,University Kebangsaan Malaysia

【珈琲ブレイ句】L18を使った正統派のパラメータ設計です。面白いと思ったのは、20μm(たぶん20μmアンダー)の粉末でマイクロMIMの金型を使っているところです。金型のゲート厚は0.32mmと極薄ですが立派に成形できるんですね。実験の範囲内で、射出温度の最大180℃がグリーン体密度を高めます。これは流動性が高くなったためでしょう。次に射出圧は高いほど良いのですが10と11barではあまり差がなくなっているので、多分ゲートが小さすぎるためだと思われます。そして金型温度は一番温度の低い100℃が一番高密度に貢献しています、なぜでしょうか? 交互作用の影響は理解できないこともあります。でも確認実験で再現しているので「なぜそうなるのかがわからなくても」技術としては問題はありません。「Why」を後回しにして「How」で進むのが技術道です。

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