展示会場で凄いと思ったもの4選。2024/10/15
①大手樹脂メーカーから『MIMの素』が発売される。MIM用粉末にこの「MIMの素」をブレンドして混錬・造粒(粉砕)すればMIMフィードストックができる。商品名:TENAC-P PT120(3STD系)、TENAC-C FF520(BASF系)、Asahi KASEI
②MIM専用プリプラ式射出成型機。射出成形時のプランジャのロック停止問題を解消し、副作用の材料漏れを防ぐプランジャガイドが追加された。漏れを防ぐ理屈は、射出圧を利用してガイドを弾性変形(くさび効果)させ、ガイドとプランジャの隙間を絞ることによる。したがって、射出と材料漏れを止めるタイミングは完全に同期する。商品名:m-MIM(マイクロミム)、SODICK
③-1 高タップ密度水アトマイズ粉末(酸素も少なめ)。平均粒径8.5μm、TD4.6g/cc、比表面積0.25m2/g、酸素量2900ppm 商品名:AT316L-H PF-13F、ATMIX
③-2《後日送られてきたデータシートより》高タップ密度水アトマイズ粉末、平均粒径8.56μm、TD4.76g/cc、比表面積0.24m2/g、酸素量2400ppm 商品名:AKT316L-S3(8) 三菱製鋼
④プラズマ粉末球状化装置。融点が高い金属や酸化しやすい金属*を超高温(3000℃超)で粉末化する。(*タングステン、チタン合金、アルミ合金、タンタル)球状でサテライトやコンタミが無い。すでに完成された成熟技術であるが現在AM用粉末としてその有益性が再認識されている。TEKNA
【珈琲ブレイ句】ついに大手樹脂メーカーから「MIMの素」が発売されました。MIMを始める敷居がかなり低くなりました。従来から「MIMの素」は存在していましたが、原料の大手樹脂メーカー自ら商品化したのは凄いことです。まだキャピラリーフローのデータが発表されていなかったのが残念ですが、自社開発の超流動性POMを使っているはずですから成形性は抜群に良いはずです。
とりあえず③の粉末と、MIM指南書P76の(2)式で推定した量の「MIMの素」を混合すれば相当良いものができると思います。
《蛇足》m-MIM射出成型機のプランジャガイドは弾性変形しない可能性もあるなぁと感じましたが黙って聞いていました。初めから15μm程度のクリアランス設計であれば流入しないので問題無しでしょう。個人的には従来タイプの材料漏れは気になりませんでした。理由は3つ、材料漏れ量がたいへん少ないこと。プランジャとシリンダー間の材料は絶対に逆流しないので材料替え混入が無いこと。さらに残留時間も短いので熱履歴による炭化膨張によるロックを防止できるためです。申し訳ないけど、クリアランスが大きすぎるのでm-MIM成形機は選びません、従来の仕様をベースに逆止弁外径を適量*1だけ細くしてもらいます(あくまでも私見です)。
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