2025年8月30日土曜日

射出成形品の取出しロボットハンドのアイデア

射出成形品(MIM)の取出しロボットハンドにおける潜在的課題と解決手段のアイデアを共有化します。

《課題》射出成形の自動化のためにロボットアームを使った取り出しが行われている。多くの場合「スプルーをロボットハンドで把持する」方法が採用されている。しかし、多くのMIMメーカーでは、製品が小さい場合、射出量に対するスプルー・ランナの割合が50%を超えるものが散見される。そこにはリターン再生50%さえも維持できないという潜在的課題がある。

《解決手段》ロボットハンドを「磁石のON-OFF方式」に置き替える。この方式であれば、スルー・ランナが存在しないホットランナー成形体でも把持することができる。


 【珈琲ブレイ句】このアイデアを採用すれば、ロボットアーム把持のためにスプルーを大きくする必要がなくなるので、リターン再生比率20~30%を優先させた方案設計が可能になります。

SUS316Lなどのオーステナイトステンレス鋼は非磁性なので「磁力」は使えないよ!とのツッコミがありそうですね。でも、水アトマイズMIM粉末*1)だと磁性があるので大丈夫です。みなさん試してみてください。うまくいけば、金型も小型にでき、さらに射出成型機も小型化できる可能性があります。、MIM工場・生産技術のQCDも改善することができます。

1)磁性が発生する理屈は、水アトマイズ粉末粒子が急激な冷却を受けることで、結晶構造の一部がオーステナイト(非磁性)からマルテンサイト(磁性)に変態する「加工誘起マルテンサイト変態」が起こるためです。

2)特許を調べたら「磁石のON-OFF方式」の公開特許(1994年)がありました。MIM成形体との接触面はテフロン板でその背後にある永久磁石が接触・分離移動する原理です。特開平06-192703「射出成形体の取り出し方法及び装置」株式会社トーキン

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