【珈琲ブレイ句】最近の論文から学んだこと。研究目的とは違うのですが、大きな気づきがあったのでまとめておきます。
論文は2つ「①焼結体寸法における保圧の影響」と「②MIMの収縮率分析」、どちらも同じ研究者で、同じ金型を使っています。その金型は特殊な方案で、相対的にものすごく大きなスプールランナの先にピンポイントゲート、成形体(1.27g)を配置した4個取りの金型です。
L16実験(射出速度、型温、保圧の3因子2水準)の結果、型温と保圧の交互作用だけがF検定で有意になっています。いろいろ仮説・考察をされていますが、私の仮説は「ピンポイントゲートには保圧は効かない」です。逆に言えば、私の仮説の検証実験になっていると感じました。不偏性のあるMIMの収縮率分析を研究するのであれば、適切な方案設計の金型を使うことが絶対条件だと感じました。
なぜ、「ピンポイントゲートには保圧は効かない」のか。
それは金型温度を下げる程、ゲートが早くフリーズするからです。ゲートフリーズはゲートの断面積が小さいほど早く進行します。最適な寸法はMIM指南書P49にゲート寸法計算式を載せていますので参考にしてください。どうしてもピンポイントゲートを採用するときは、保圧を諦めて、ロバスト性は低下しますが金型温度と射出速度で管理する方法になると思います。
《ことば》ゲートフリーズ(gate freeze、gate freeze-off、ゲートシールと同義)金型内でゲート部分の材料が完全に固化し、それ以上材料が流れなくなる状態
《参考論文》①The Effect of the Holding Pressure Profile on the Metal Injection Molded Component Dimensions after Sintering(2024) ②The Effect of the Holding Pressure Profile on the Metal Injection Molding Component(2020) / Emir Saric他