PolyMIM社のMIM用ペレットとAIM3Dプリンターを使い押出積層造形をしたグリーン体の二次加熱脱脂速度が焼結密度と機械的性質に影響することを解明した論文(2024年)から学びます。
《AIM3D条件》層厚:0.05mm、印刷速度:20mm/s、流量:120%、材料温度:196℃、ベッド温度:60℃、充填密度:100%
《脱脂焼結条件》材料:PolyMIM-64Ti、一次脱脂:水脱脂(60℃×12H)、二次加熱脱脂(2,5,10℃/分、Ar、500℃まで)、焼結(20℃/分、1300℃×1H、Ar)冷却:20℃/分
《結論》脱脂速度は遅いほど焼結密度が向上し、機械的性質も向上する。
【珈琲ブレイ句】ハイエンドでフラッグシップである「AIM3Dプリンター」の実力は凄いですね。市販のMIMフィードストックを使って3D積層しています。積層条件のポイントは、おそらく流量を標準より120%と多くしているところでしょう?「なんちゃって保圧」を掛けていると思われます。
Poly-MIM(水脱脂PEGバインダー)は、市販の高精度MIMフィードストックですが、論文内の画像解析ではバインダー量38.5Vol%としているので、おそらく、バインダー量の多い拡大率1.1515の方を使っていると思われます。他にPOMバインダー(触媒脱脂)もありますが、MIMでもPoly-POMは成形が難しいので選ばれなかった可能性があります。
なぜ、二次加熱脱脂の速度が最終的な焼結密度に影響を与えるのかを共有化しておきます。
「脱脂速度が速すぎると、粒子の再配置が起こり、孤立した大きな粒子間空隙が発生し、焼結結合が閉じにくくなる。」∵二次加熱脱脂中の脱脂速度が大きいほどひずみ速度が大きい(文献図3-a)。
文献:”Analyzing the Debinding Step of Ti64 Parts Fabricated by 3D Printing Extrusion” by Ana Silvia González-Pedraza メキシコ国立技術研究所、他、2024/5
PS. MIMの二次脱脂と焼結条件(量産条件)は、MIM指南書(P127図4.22、工程NO.4)に載せています。さらに高密度化を狙っている二次加熱脱脂速度であることを確認できます。