自ら語る「世界をリードするアトミックス独自の技術」とはどんなものなのか。特許明細書を調べてみた。
出願2002年
①タンデッシュから落下する溶湯をガス流で分裂させる②その液滴を高圧水をノズルから噴射し作った水の逆円錐にぶつける第二分裂③直下の圧力を上げ水蒸気を液化させる。
【ポイント】水アトマイズされる前に、第一分裂で液滴になるので球状化でき、収率も上がる。また、アトマイズ直下の圧力を上げることで(水の蒸気圧の関係で)水蒸気を水に変え、粉末の酸化を低く抑えることができる。
水アトマイズの前に、液滴化する方法は、以前紹介したガスアトマイズを第一分裂に使う方法と目的は同じだ。ガスアトマイズと水アトマイズのハイブリッド。
出願2011年2月8日
タンデッシュの下にもう一つタンデッシュを設ける。この下のタンデッシュの壁部内に誘導加熱コイルを内蔵させる。
【ポイント】溶湯の温度を正確に管理できるので大気からの酸素侵入を最少化できる。また、溶湯は磁界で対流撹拌されるので金属粉末組成が安定する。 311後、再稼働した粉末工場を見学させていただいた。大きな四角いタンデッシュに電極のようなものが付いていた。たぶん、これですね。
出願2013年
第一分裂の改良版:タンデッシュの下に筒を設け、筒の下端面には複数の穴がある。その穴を通る溶湯が丸い液滴となる。
特許明細内容が量産技術に展開されている保証はない。しかし、このように技術開発を継続していることに「世界をリードする独自技術」を自負する根拠がある。
過去の技術(特許時効)は展開されている可能性はある。例えば、高圧旋回水ジェットによる球状化(発明者:福田金属、菊川)。
ウォータージェットのスギノマシンのHPに水アトマイズの解説が載っている。水圧は高い方が微細化、球状化できるので。この本家技術とのコラボもおこなっているかも?