2021年5月7日金曜日

MIM-Like AMが精度でMIMを絶対に越えられない理由

 転写とは金型形状を成形品に写し取ることである。拡大解釈すると設計データ通りに製品を造ることであり、NCデータによる機械加工で金型を削り出すことも転写である(これを転写1とする)。プラスチック成形品は、NCデータから金型をつくり、その金型を使って射出成形するので転写の回数は2回である(転写2)。このように、各種素形材の転写回数をまとめると次の通りになる。順番は精度順である。

1位 金型(転写1回) 2位 プラスチック成形品(転写2回) 3位 MIM焼結品(転写2回) 4位 ロストワックス精密鋳造(転写4回)5位 MIM-Like AM:MIM用金属粉末利用AM:バインダージェット、FDM、FFF(転写1回)

転写する回数が多くなれば、当然精度が落ちていく・・はずである。しかし、残念ながら転写が1回のAMが精度では最下位である。その原因はなにか、なぜ精度を高くできないのか原因・課題を考察した。

理由は4つ 焼結収縮問題:金属粉末の大きさに精度が支配される10~30μm、粉体流動性に支配される、フィラメント流動性(バインダ量過多)に支配される バインダー滴の大きさ、FDM(FFF)ではノズル径に支配される 積層ピッチ(解像度)に支配される、50μm 品質とコストバランス問題:精度を上げるために解像度を上げるとその3乗に比例して造形時間が掛かる。造形品1個に掛けられる時間は要求コストに支配される

【珈琲ブレイ句】上記理由で、MIM-Like AMことMIM用金属粉末利用3Dプリンターは、MIMの精度には絶対に勝てないのです。しかし、MIM-Like AMは、MIMより遙かに優れているところも多く「超短納期」「超造形自由度」は天下一品です。さらに、AM技術は転写が1回なので技術的には高精度化できる可能性を内在しています。サブミクロンやナノ粉末でミクロ寸法の部品を創る世界であれば、AM技術が有利で独占できる可能性が高い、特に光重合積層はマイクロ部品造形でトップになれると感じます。

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