MIMの優れているところは、金型キャビティ形状を正確に転写し、精密に同じものを大量に製造できるところである。しかし、欠点は、その裏返し「金型が必要」であることである。したがって、MIMの試作品を1個つくるためにも金型は必要である。対策としてMIMの四角いブロックを用意して削り出す方法が思いつくが、これは技術的に不可能である。なぜなら、大きなブロックをMIMで不良なく形成できないためである。そこで、試作のための簡易金型を造る方法を2つ紹介する。方法1:アルミ合金を高速NC加工機で簡易型を削り出す。キャビティ部分をカセット式にする、ブランクのブロック材も事前に準備できる。簡単なスライドは置子で形成できる。方法2:3Dプリンターで樹脂型を造る。こちらもカセット式にする。
【珈琲ブレイ句】方法1は、実際に活用していました。2万回転仕様のMCで削り出せば、切削面の表面粗さも良好、冷却水の穴も明けることができました。アルミ合金型によるMIM成形は数百~千個成形可能です。金型の熱伝導率もよく、試作の製造条件をそのまま量産へ展開できるメリットもあります。 方法2は、CASTEM社とSWANY社の共同出願で特許(出願2015)になっています。SWANY社のデジタルモールド(R)を基本にして、冷却用の流路を形成させるものです。MIMの試作で実際に活用されています。
デジタルモールド(R):SWANY社の商標、Stratasys J850を使い3D造形した樹脂型。材質は2液混合デジタルABS(光硬化樹脂で熱可塑化しないことが重要)。表面粗さが必要な場合は、キャビティ面のNC加工を追加できるそうです。
アルミ製試作金型:手動式射出成形INARIを販売しているORIJINALMIND社で12万円から簡易金型の購入が可能。MIM試作とセットなら、CASTEM社だと同じ価格+αでMIMの試作が(たぶん)可能です、JUKIAIZU社も同じ価格×2.5で試作金型からMIMまで短納期で対応中(のはず)です。