2022年2月14日月曜日

BASFが低合金鋼でMAからPAにシフトした理由

 BASFが、自社のフィードストック(触媒脱脂)で、MAシステム(マスターアロイ+CIPカルボニル鉄粉)から、PAシステム(WA合金粉末)へ軸足を移した理由がわかった。理由は3つ。

理由1 水アトマイズ粉末の価格が相対的に安くなった。技術開発で品質も球状粉末、高タップ密度へ進化している。

理由2 機械的性質が、PAシステムの方が良い。引張強度で35MPa高い。材質8620(SNCM220相当、as sintered)

理由3 MAシステムは、混合した粉末の分散性の確保が完ぺきではない。また、ニッケルの塊(Nickel-islands)が発生する。

                            参考文献: PIM international 2021 Vol.15 No.2 P85 

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【珈琲ブレイ句】MAシステムにも当然メリットがあります。それは、自由な合金設計ができる。CIPが微細なので低温で焼結できる、また、流動性を確保した時のバインダー量を減らすことができる(収縮率が小さい)。一方、PAシステムにも欠点があります。表面粗度が悪いRa1(MA:Ra0.7)、同じ流動性を確保した時のバインダー量が少し多い、酸素量が多い、焼結温度が高い1380℃(MA:1250℃)。

MA:Master-alloy(GA)+CIP  PA:Pre-alloy(WA合金粉末)

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