2026年1月17日土曜日

粉末充填率72vol%は実現できる

 【珈琲ブレイ句】MIMのワックス系フィードストックにおける金属粉末充填率(PL:Powder Loading)を4水準(60, 64, 68, 72vol%)で比較した研究論文*1では、PL68vol%が最適であると結論付けられています。その理由は、機械的性質、焼結体密度、焼結体硬度のすべてにおいてPL72vol%が最高値を示しているものの、PL68vol%の方が「成形不良率が低い」という点を重視したためです。

しかし、私はPL72vol%を最適値とすべきだと考えます。論文内のキャピラリーフローデータを両対数グラフ(下図)にしたところ、PL72vol%においても理想的な擬塑性流体であることが確認できました。また、せん断速度100 1/s  以上の領域で成形限界粘度の指標である1000 Pa⋅s を下回っており、成形性は十分に確保されていると判断できるからです。

参考までに、成形上級者向けのBASF Catamold 17-4PH(180℃)のグラフを重ねてみると、粉末充填率72vol%(ワックス系)は、Catamold 17-4PH(180℃)と、同等以上であることがわかります。

確かに成形は簡単ではありませんが、「成形条件のパラメータ設計」を行いロバスト性能の高い最適条件を導き出していれば、研究論文の結論は変わっていたはずです。

キーワード:高CL化=高精度化、品質工学(タグチメソッド)=パラメータ設計

*1 「Effect of powder loading on metal injection molding stainless steels」/ Yimin Li, Liujun Li, K.A. Khalil / Journal of Materials Processing Technology 183 (2007) 432–439

粉末:17-4PHステンレス鋼、ガスアトマイズ粉末、球状、d10 = 5、d50 = 12、d80 = 22μm、TD=4.70g/cm3、バインダー:65%PW + 30%EVA + 5%SA、混錬:175℃、横型50トン成形機(最大成形圧力160bar)、金型4種

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