2022年3月9日水曜日

頑張れ!DesktopMetal社の大量生産機の実力を考える

DesktopMetal社のP-50について、その凄さを分析してみた(推定・推測を多く含むので実際と乖離している可能性があることを理解される方のみ読み進んでいただきたい)。

《カタログ情報》BJTバインダージェット。SPJ(Single Pass Jetting:往復で積層できる独自技術)。ビルトボックス体積=490*380*260mm。レイヤー厚:30~200μm。最大積層速度:12000cc/h。積層体の公差巾:0.2mmあるいは±1%。

《YouTubeで公開されている情報》部品:ステアリングジョイント(推定30g)。単価:$2.69。1チャージ造形個数:2600個(130か所×表裏重ね×10段)。1チャージの推定造形時間:レイヤー30μmのとき20~25H

【珈琲ブレイ句】私は、DesktopMetal社のミニ株主のひとりなので、厳しい視点で応援しています。CEOのリック・フロップは、SPJは大量生産できるBJTなんだと言い切っていました。確かに、こうやってざっくり計算してみると、1日で2600個のグリーン体を造るのですから、確かに凄い生産能力です。コストも$2.69という事なのでMIMに勝てる可能性があります。ただし、速すぎる感じもします。この機械はSinterBasedAMなので、後工程で脱脂焼結を行う必要があります。この生産数でフル稼働すると、後工程は2~3セットの脱脂装置と真空脱脂焼結炉が必要になるでしょう。生産能力のネックは真空脱脂焼結炉の能力に支配されるので、この半分以下の生産量で良いと思うのです(SPJが安価で稼働率を考慮しなくて良いのであれば問題ありませんが)・・。Cコスト VS Q品質 のバランスが重要です。BJTで大量生産の戦略は正しいのか、精度も表面粗さもMIMに劣るのに。最大の売りである初期費用ゼロがメリットになりません。生産量が多いということは、D納期は長期戦問題(金型償却期間が長くなる)になります。つまり、MIM金型を高めに200万円として厳しく1年償却で計算すると、金型初期投資は200万円÷200日/年÷2600個/日=3.8円/個なんですけど・・だいじょうぶでしょうか? BJT大量生産戦略は正しいのか? それより「超多種生産」のキャッチコピーの方がよいかもしれません。がんばれリック様!ただただ暖かく見守るだけです。

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