MIMフィードストックに多用されているPA(パラフィンワックス)とEVA(エチレン酢酸ビニル共重合体)のブレンドに関する論文を掘り下げ結論だけ記録する。製造されたMIMフィードストック組成は、PA,EVA、SA1wt%、結合剤(内容不明)、SUS316L粉末D50-8μm、SL:53VOL%。実験変数:PAとEVAの配合%
《結果》◆PAとEVAのブレンド品だけの曲げ弾性率(ヤング率)は、EVA=35wt%のときに最大(165MPa)になる。ちなみにPW100%とEVA100%のヤング率はどちらも約90MPa。◆MIMフィードストック(EVA35wt%)のヤング率は1635MPa ◆金型温度が高い方が、MIM成形体のヤング率が高くなる。型温度-ヤング率:20℃-1378MPa、30℃-1454MPa、40℃-1623MPa
文献:The Crystallization Behavior and Machanical Properties of Poly and Parafin Wax Blend , Jim Kon and Byoung-Kee Kim,粉体粉末冶金第46巻第8号(1999年8月)P823-829
【珈琲ブレイク】不思議ですね。PA、EVA単体だとヤング率がともに60MPa程度なのにブレンドするとEVA35wt%のとき最大化してヤング率が約2.7倍になるという報告です。個人的にEVAを使うMIMフィードストックが好きなので「やっぱりな!」という感想です。ヤング率が高いと言う事は成形体が固く曲げ変形に強いということです。ほかにも、EVAがホットメルト接着剤に使われていることからも分かるようにEVAの結合力は信頼性が高いのです。でも欠点もあります。それは加熱脱脂で残渣が残りやすいことです。・・でも一次脱脂を溶媒脱脂(沸点が高い溶媒厳守、塩化メチレンはNG)にして完全にEVAを除去すれば問題は回避できます。