2019年3月20日水曜日

「焼結ばらつき」はどうやって管理するのか


①焼結炉の炉内温度を管理するべし 

その方法は・・・

《理想》
その方法は、定期的に熱電対を使って温度測定し規格内であることを証明し、外れていたら部品を交換・補修保全する。 

この設備保全は一流の熱処理屋さんは完璧に行っています。しかし、焼結工程の熱履歴の保証が要求されないMIMメーカーではたぶん実施しているところは稀ではないかと思います。


《簡易的炉内温度管理》
簡単に炉内の温度を測定する方法があります。それは・・・
「試験片を焼結して焼結寸法を測定することで温度を知る」
商品名:リファサーモ、TempTab (グリーン体です)
材質は、TempTabSDSを見るとAlmina Oxide 99.8% アルミナで金属ではありません。0.2%がバインダで、MIMではなくCIMの仲間ですね。
使い方:試験片をMIMの量産ロットで焼結して、その寸法を測る。付属の寸法・温度対応表で温度を知る。この対応表は製造ロットごとに作られています。 

長所と短所をまとめておきます。

◆長所◆
・手軽に温度(相対温度)を計れる
・手軽に管理図による管理ができる
・測定が熱電対法に比較して安価
・安価で手軽なので、毎ロット測定することも可能

◆短所◆
・環境によって収縮率が異なる(大気、ガス、真空)
・温度は「相対温度」であって「絶対温度」ではない
   ( 付属の寸法・温度対応表の温度と一致しません
・試験片(焼結体)の寸法測定誤差→数個の平均値化 

《まとめ》
試験片による相対温度計は、管理図による炉内温度管理が手軽にできるので有用である
付属の寸法・温度対応表の温度と一致しないが、線形性*1と再現性があるので相対的温度の物差しとして十分使える。
*1 線形性が成立する温度範囲が狭いので、温度範囲ごとに種類があります。