材質:INCO718
試作品:高圧圧縮機静翼
《機械的特性》(鍛造材との比較値、数値はグラフから読み取った)
引張強度 96%
高温引張強度 95%
伸び 80%
高温伸び 99%
高温疲労強度は鍛造材より高い(GAガスアトマイズ粉)
故意に表面欠陥(Φ0.1mm)を付けても疲労強度に影響しない
金属組織結晶粒径 平均30μm (鍛造材:90μm)
参考文献 IHI技報 Vol.53 (2013)P50-54
《まとめ》
・機械的強度は鍛造材と同等である。
・伸びは劣るが許容範囲である。
・高温疲労強度は鍛造材に勝る(GAガスアトマイズ粉)
∵結晶粒微細による *1
・高温疲労強度は酸素量に依存しWA(水アトマイズ)粉末は劣る
・Φ0.1mm程度の微細孔(ポロシティ)は高温疲労強度に影響しない
《蛇足》
データは、まさかの鍛造材との比較値で数値が伏せられている。
隠さなくてもいいのに・・・
《参考値》
だいたいどのくらいなのか国際規格を調べてみた。
《参考値》
だいたいどのくらいなのか国際規格を調べてみた。
・AMS5917(MIM-INCO718 HIP+溶体化+時効)
20℃ 引張強1241MPa以上 伸び6%以上
649℃ 引張強931MPa以上 伸び6%以上 *1 他の最新報告では、高温クリープ強度を向上させるために「粒成長を促進させて粒界の量を減らす」ことを提案している。これは、応力指数がn = 2.72なので、粒界拡散クリープが支配的であることが理由とのこと。上記の高温疲労強度の向上理由と逆である。「製品の要求仕様により結晶粒径のコントロールが必要だ」ということであろう。
(日比野ら 粉体および粉末冶金 2019 年 66 巻 1 号 p. 17-22)