2019年3月21日木曜日

MIM製超合金にはどんなものがあるのか

MIMによる超合金(Superalloy)は、航空宇宙分野の秘匿性のため開示情報は限定的ですが、数少ない公開論文をまとめた特集記事がありました。
参考:Powder Injection Moulding International  March 2013 vol.7 No.1 P53-P66

《第一世代》
Udimet 700
Inconel 718
Inconel 625
Inconel HX

《第二世代》
Inconel 713, 713LC
Nimonic 90
Udimet 720, 720Li
Inconel 100
GMR-235
MAR-M247
N18

《用途》
航空機エンジン(圧縮器静翼、ハニカムシール、調整レバー、ロックナット)自動車(ステーターベーン、ターボチャージャー)

《課題》
    特性データがまだ不十分である。実用化のためには多くのデータが必要
研究が多いのはInconel718 続いてInconel625713である
    MIMバインダーが不純物の最大の供給源となるため、脱脂工程の最適化が必要
事例:ロールスロイスのInconel718製ステーターベーンではPMMAと水溶性バインダーを使い溶媒(水)脱脂と加熱脱脂にて完全にバインダーを除去してから焼結している
    不純物の閾値レベルとその制御方法の規格化が必要
高真空が必要な場合バッチ炉が必要で、処理時間と高コストが課題にな



《追加の課題:あくまでも私見です》
・HIPを行うことが前提
・脱脂は溶媒脱脂が必須
・全数非破壊検査は必要になる
・熱処理が重要(結晶粒・析出物形状管理,溶体化&時効)
・クリープラプチャー試験(高温強度試験)
・高温疲労試験