2019年3月15日金曜日

品質は「分散」と「平均値」の合わせ技で決まります

「この車は品質が良い」と言ったとき、解釈は2つ
 ①車の仕様が高い(性能、平均値問題)「やっぱりポルシェが最高!」等
 ②車の仕様がいつでもどこでも表示通りにバラツキなく再現される(分散問題)「日本車は故障が少なくて最高!」など

MIMで考えてみましょう
部品なので「精度」に置き換えると

精度=平均値+分散
平均値とは「正確さ」で、分散とは「精密さ」です。

精度=正確さ+精密さ

正確さ:金型製造寸法のカタヨリ、収縮率(伸び尺)設計ミス *1
精密さ:寸法(収縮)ばらつき、変形、密度のばらつき

技術的には「正確さ」は「精密さ」より簡単に解決します。金型の寸法が指示寸法からズレていたら金型の受入検査不合格にして直させればすぐに解決します。金型寸法が製品公差の10分の1に入っていなければNG、甘く見ても5分の1に入っていなかったら即修正です。
一方、コントロールが難しいのは「精密さ」です。*2

「精密さ」のコントロールを難しくする犯人はこんな方々です・・・
・金属粉末のロット間ばらつき(新しい工場増設、移転、機械増設や更新など含む)
・樹脂の製造間ばらつき
・フィードストック製造時の材料計量ばらつき
・成形体の重量ばらつき
・脱脂率ばらつきによる炭化量ばらつき
 →融点変動→焼結密度変動
・焼結炉内温度ばらつき
・焼結炉導入ガス流による熱伝導ばらつき
・炉内配置による伝熱3要素のばらつき
など


*1 工程能力指数(Cp,Cpk) 
   Cpは分散だけの評価 Cpkは平均値と分散両方評価します。
 MIMの場合は、金型転写ですから Cpk で評価します。
 ちなみにCpkのkは「カタヨリ」のことで語源は日本語です。
*2 品質工学では「二段階設計法」が秀逸です
 始めに「分散を最小化する設計因子を見つけます(制御因子)」
 次に、平均値に寄与するそれ以外の因子(調整因子)を見つけて
   目標の仕様値に合わせます(チューニング)。


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