2019年4月29日月曜日

MIMの精度を上げる方法《はじめの一歩》

いまさらですが、MIMの大先生が書かれた本を読んでいます。
『Injection Molding of Metals and Ceramics』著者:Randall M. Geraman & Animash Bose

MIMの精度を確保するために初めにやることがちゃんと書いてあります。1997年出版の本です。

初めにやること。それは、第2章の「フィードストック」です。
キーワードは「Critical Solids Loading」です。

直訳すると「臨界固形分充填量」ですが、固形分とは粉末なので「臨界粉末量」あるいは「最大粉末量」としておきます。定義は「粒子が外圧なしでできるだけ密に充填され、粒子間の全空間がバインダ―で充填される組成である状態」

粉末を臨界まで多くすれ精度が最大になる。*1 つまりバインダー量を最少化すれば精度が向上する。収縮が最小化するので精度が向上する、イメージで理解できますね。

ではどうやって「臨界粉末量」を求めるのか、
その方法が4つ書かれています。
①密度法
②メルトフロー法
③混錬トルク法
④粘度対組成法
どれを選ぶのかは、手軽さと精度のトレードオフになりそうです。
ちなみに私は③混錬トルク測定派です。

*1 実際は臨界量より少し固形分を少なくします(バインダーを多くします)そのことも本に書いてあります。

注意:この本の2章の前書きには次の文章が載っています。
射出成形に使用される粉末と結合剤のペレット化した混合物をフィードストック(Feedstock)と呼ぶ。この品質は5つの因子で決定される。それは、「粉体特性」「結合剤組成」「粉体と結合剤比」「混合方法」「ペレット化技術」である。 この2章では、原料を構成する粉末とバインダーの構成要素について詳しく説明する。 もし市販のフィードストックを使う場合は、この章を飛ばしてもかまわない。』 市販品であれば粉末量が最適化されているからですね、たぶん。