2019年6月11日火曜日

BASFのすごいところ

BASF法(Catalysis)がすごいのは脱脂能力がピカイチなのです。

触媒反応でPOMを表面から分解していくので、
脱脂速度が ほぼ一定 2mm/H である*1*2ところ。

他の脱脂(溶媒、加熱)は、肉厚の二乗に比例して脱脂時間が長くなります。

BASFの長所はほかにもあり
・ほぼポリマーだけのバインダーなので脱脂変形が少ない
・大きなものができる
・バインダーを完全にバーンアウトできるので残渣成分がない

欠点は、
・ポリマー主体のバインダーなので成形が難しい。
 恐怖の金型温度100℃超え (ロボットハンドリングなら恐怖ではない)
・硝酸、シュウ酸がある特定の金属を腐食させる恐れがある。
   これらの溶液は腐食液として使われている
・リターン回数が極端に少ない。

完璧なMIMバインダーシステムはないのです。人間と同じです。


*1  Injection Molding of Metals and Ceramics by Randall M.German & Animesh Bose  P197
*2「発煙硝酸で金属(Fe,FeNi)の場合、脱バインダ速度は1~3mm/H ただし、FeCoは反応が頭打ちになる、Coが硝酸と反応するため」 粉末と射出成形技術1996 BASF 村山 P71