こんなメリットがあるそうだ。
1 ナノ粒子のローラーベアリング効果で潤滑剤として作用し粉末量が約70VOL%
2 グリーン体強度が7倍向上する
3 800℃未満の低温における初期焼結で、ナノ粉末により粒子接触増加
4 ナノ粉末が粒子拡散に寄与し800-900℃にて劇的に緻密化する
5 ナノ粉末が焼結体の結晶粒成長を抑制する
6 1250℃×3H 相対焼結密度96%
7 表面あらさも改善される
粉末量:約70%、バインダー:PW+SA、低温低圧成形:70℃&4Mpa、ウイッキング&加熱脱脂:500℃×2H、焼結:1250℃×3H(水素)
参考: ‘Low
temperature Powder Injection
Moulding of iron micro-nano powder
mixture’ by Woo-Kyung You et. al has
been published in Powder Technology 228 (2012) 199-205.
【珈琲ブレイ句】
セメントに「砂利」と「砂」を混ぜると強固なコンクリートになる。そんな二峰分布混合の事例ですね。研究ではナノ粉末を造るのが大変で、ボールミル粉砕後、水素還元し、さらに湿式粉砕して造られている。よくわからないけど大変なことだけは理解できる。ナノ鉄粉の市販品はあるのでしょうか?
気になるのは驚異的に多い粉末量70VOL%。タッピング密度と比表面積が不明なのですが、ナノ粉末が潤滑剤として作用したことと、バインダーがPWとSAなので「ほぼすべて潤滑剤」だから出た数字かなとも思います。ポリマーを入れる通常MIMでは70VOL%は難しそうですが、量産で採用すれば、低温で粒子接触が増加して中間焼結強度が向上し、収縮変形が少なく高精度化が期待できると思われます。残る課題はナノ粉末のコストと焼結体品質のバランス問題ですね。