米国のMIMフィードストックメーカー界のAMAZON、すべての種類を揃えている「Ryer社」のアルミ合金6061のフィールドテストの事例を見つけたのでまとめる。
◆Ryer Part No.:6061-9034US
◆粉末:US Metal Powders社製ガスアトマイズ粉末、D50=12-18μm、<34μm、比表面積<0.4m2/g、Al2O3<0.5
◆バインダー:ワックス系Ryer-Solvent、40VOL%(計算による推定値)
◆一次脱脂:溶媒脱脂(溶媒不明)
◆二次脱脂・焼結:250℃~650℃×1-2H、窒素純度99.99以上(露点-60℃以上)
◆熱処理:T6、溶体化:510℃×30分後水中急冷、時効:180℃×8H
◆結果:焼結密度2.66g/cm3(98.6%)HRB93、引張強度=290-300MPa(T6処理後)
◆備考:粉末内のAl2O3の量を最小化すること。微量のMgがアルミ酸化物を還元し焼結密度を向上させる。 6061の融点は652℃なので、焼結温度の精密な管理が重要。
【珈琲ブレイ句】市販のアルミ合金フィードストックが販売されているんですね。他に2024がカタログに載っています。結構普通に溶媒脱脂と焼結を行えば焼結密度98.2%を達成できるとは驚きです。焼結温度が600℃台と低いので、結合剤は300℃台で分解するポリマーの可能性が高そうです。それから、ポイントは「アルミ表面約4nmの酸化被膜との闘い」ですね。始めからAl2O3の量を最小化することに加え、焼結中の窒素ガスは99.99以上にして水分(H2O)を減らすことが重要であることを学びました。Metal Powders社は始め水溶性バインダーを試して失敗しRyerに製作を依頼した経緯のようです。だからでしょうかRayerのカタログには始めからAqua-MIM(水溶性バインダー)のアルミ合金は存在しません。さらにCata-MIM(触媒バインダー)にもないですね、こちらはアルミが酸で腐食するのかも?しれません。やっぱり溶媒脱脂用バインダーは自由度が高く使いやすい万能バインダーですね。