2021年6月25日金曜日

溶媒ジェットとバインダージェットの違い

AMの溶媒ジェット*1(Solbent Jetting)方式とバインダージェット(Binder Jetting)方式の機構は殆ど同じである、ただ2つの違いを除いて。その違いとは、プリンターヘッドから噴射される「液体」とパウダーベットに一層分敷かれる「粉末」が異なっている。その具体的な違いとは・・・

《噴射する液体の違い》Binder Jettingは「バインダー」を使う。バインダーとは結合剤であり数種類の成分を含んでいる。結合強度を確保するためにポリマーを含み粘度は相対的に高い。一方、Solbent Jettingは「溶媒」だけを噴射する。粘度は相対的に大変低い。

《粉末の違い》Binder Jettingに使う粉末は、ほぼMIMで使う粉末と同じもの(少し粗い?)である。一方、Solbent Jettingに使う粉末は「バインダーを粉末にコーティングしたもの」である。粉末単体にコーティングしたもの、おにぎりのような造粒粉がある。そして造形原理は、一時的に粉末表面のバインダーを溶剤で溶かして結合させる。

【珈琲ブレイ句】溶媒ジェットもバインダージェットと同じものだと理解していましたが、深く調べるとその違い*1 が見えてきました。その違いは差別化技術でもあるのですが、Solbent Jettingの優れた技術は「ノズルヘッドの信頼性を格段に向上させることができる」ことです。そもそも主流のバインダージェット方式には弱点があります。それは、ノズル詰まりとの闘いがあることです。ヘッドのクリーニング管理、詰まったヘッドを他のノズルが補完して印刷するなど気遣いが大変なのです。一方、溶媒ジェットなら目詰まりはありません。なぜなら「目詰まり洗浄剤を噴射しているようなもの」だからです。ジェッティングの信頼性が各段に向上することは想像に難くありません、補助ノズルも不要になるのでノズル設計がスリム化でき安価になるでしょう。さらに、粉末にコーティングさせるバインダーもコーティング性と脱バインダー性(残渣ゼロ)だけを考えて独立研究開発ができるので完成度を高くできるメリットがあります。

*1 ASTM F42のAM分類に当てはめると、「Solbent Jetting」は「Binder Jetting」の仲間ではなく「Cold Metal Fusion (Metal SLS)」の分類にはいると考えます。なぜならば、コーテッド粉末の表面バインダーを融解することは全く同じだからです。違うのは「溶かす原理」だけなのです。「レーザー(物理的融解)」か「溶媒・軟化(化学的融解)」かの違い。


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